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京都大学 研究Discovery Saga
2026年1月15日

海洋下のマントルに由来する岩石中に有機物を発見

―上部マントル中での生物が関与しない有機物合成の証拠―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
生物が関与しない有機物合成が、海洋下のマントルでも起こり得ることを示すものであり、マントル内における有機物合成過程の全容解明に向けた重要な手掛かりとなることが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学数物系科学化学総合理工工学総合生物農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
多環芳香族炭化水素/海洋/高エネルギー/マグマ/マントル/マントル捕獲岩/加速器/上部マントル/放射光/放射光X線/硫化鉱物/芳香族/芳香族炭化水素/ラマン/X線CT/二酸化炭素/有機物/極限環境/炭化水素/ラマン分光/ラマン分光法/CT画像
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

三津川到 理学研究科博士課程学生、三宅亮 同教授、伊神洋平 同准教授を中心とし、京都大学、広島大学、立命館大学、東北大学、高輝度光科学研究センター(JASRI)、早稲田大学、東京大学、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所のメンバーで構成される共同研究チームは、南太平洋タヒチ島で採取されたマントル捕獲岩中の包有物から、多環芳香族炭化水素を主体とする有機物を発見しました。地球のマントル内部で生物とは無関係に有機物が合成されている可能性は古くから指摘されてきましたが、海洋下のマントルに由来する天然のマントル物質からそのような有機物を検出した例は極めて限られていました。本研究では、放射光X線CTや顕微ラマン分光法などの分析手法を用いて、マントル捕獲岩中の微小な包有物を解析しました。その結果、包有物内に多環芳香族炭化水素を主体とする有機物が、二酸化炭素や一酸化炭素とともに分布していることを明らかにしました。本成果は、生物が関与しない有機物合成が、海洋下のマントルでも起こり得ることを示すものであり、マントル内における有機物合成過程の全容解明に向けた重要な手掛かりとなることが期待されます。
 本研究成果は、2026年1月14日に、国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。
画像

 (a) マントル捕獲岩とは、マグマが地表に上昇する際に通過する火道の内壁の岩石がマグマ中に取り込まれ、地表に運ばれてきた岩石のことである。 (b) 今回分析した包有物の放射光X線ナノCT画像。マントル捕獲岩の構成鉱物である単斜輝石の中に白金族鉱物、Fe-Ni-Cu硫化鉱物、ケイ酸塩ガラス、CO₂+CO+有機物から成る包有物が観察される。

研究者のコメント
「今回扱ったマントル捕獲岩は、1000 ℃を超える高温と数GPaという高圧が支配する極限環境下に置かれていました。そのような条件下で有機物が合成されているという事実は非常に興味深く、大きなロマンを感じています。今後は、マントル内部で合成された有機物の特性やその形成メカニズムについて、より詳細に解明していく研究を進めていきたいと考えています。」(三津川到)

詳しい研究内容について

海洋下のマントルに由来する岩石中に有機物を発見―上部マントル中での生物が関与しない有機物合成の証拠―

研究者情報

研究者名 Itaru Mitsukawa ORCID 研究者名 三宅 亮
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 伊神 洋平
京都大学 教育研究活動データベース

関連部局

理学部・理学研究科