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岐阜薬科大学 研究Discovery Saga
2026年1月8日

新規化合物群アミノトリアゾラマーの創出

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
天然のペプチドや従来のペプチドミメティクスとは異なる化学空間に位置する化合物群を提供するものであり、機能性分子設計の基盤技術となることが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学化学生物学総合理工工学総合生物農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
水素結合ネットワーク/超原子/アミド/クリック反応/トリアゾール/ルテニウム触媒/機能性分子/自己集合/ロイシン/X線結晶構造解析/結晶構造解析/付加環化反応/単結晶/機能性材料/結晶化/単結晶X線構造解析/X線構造解析/生物活性/生体内/X線結晶構造/機能性/結晶構造/結晶性/アルケン/HIV/アミド結合/アミノ酸/アルキン/プロテアーゼ/ヨウ素/ルテニウム/環化反応/高次構造/創薬/中分子/超原子価/分子設計

研究の背景

ペプチドは、医薬品や農薬の開発において極めて重要な化合物ですが、生体内での低い安定性や吸収性の低さが課題となっています。これらの課題を解決するため、ペプチド結合を他の構造に置き換えたペプチドミメティクスの開発が行われており、アミド結合をフルオロアルケンやチオアミドなどに変換した分子が合成されています。また、アジド−アルキン付加環化反応(AAC)により、トリアゾールでアミノ酸側鎖が連結した「トリアゾラマー」の開発も進められており、HIVプロテアーゼ阻害作用などの生物活性を示すトリアゾラマーも報告されています。このように、新たな構造様式でアミノ酸側鎖を連結した化合物の合成が可能になれば、新規中分子医薬品や機能性材料の開発につながると考えられます。本研究では、アミノ酸側鎖を4-アミノトリアゾールおよび5-アミノトリアゾールで連結した新たな非ペプチド性フォルダマー「アミノトリアゾラマー」の合成法の開発と、その高次構造の解明を目指しました。

研究の成果


本研究では、超原子価ヨウ素アルキニル化剤(TIPS-EBX)を用いた銅触媒による求電子的エチニル化反応と、アジド−アルキン付加環化反応(AAC)を繰り返す合成法を確立しました。
グリシン由来のイナミドに対し、ロイシン由来のアジドを用いた銅触媒的アジド−アルキン付加環化反応(CuAAC)、トリイソプロピルシリルエチニルベンゾヨードキソロン(TIPS-EBX)を用いたTIPS-エチニル化反応、脱保護反応、さらにフェニルアラニン由来のアジドを用いた2回目のCuAACを行うことで、アミノ酸3分子が4-アミノトリアゾールで連結した4-アミノトリアゾラマーを得ることができました。しかしながら、鎖状の4-アミノトリアゾラマーは結晶化しなかったため、脱保護および縮合剤を用いた環化反応を行ったところ、結晶性の環状4-アミノトリアゾラマーを得ることができました。一方、銅触媒に代えてルテニウム触媒を用いてRuAACを行い、同様の工程を経ることで、環状5-アミノトリアゾラマーを得ることができました(Scheme 1)。




得られた環状アミノトリアゾラマーの単結晶X線構造解析を行った結果、骨格の違いにより全く異なる高次構造を形成することが明らかになりました。4-アミノトリアゾラマーは15員環構造を持ち、分子間水素結合によって右巻きの螺旋構造を形成し、約3 Åの細孔を有しています。一方、5-アミノトリアゾラマーは13員環構造を持ち、垂直方向に配列することでチューブ状構造を形成し、直径約5 Åの細孔を有しています。これらの構造は、アミド結合、スルホンアミド基、トリアゾール環間の複雑な水素結合ネットワークによって安定化されています。



本成果は、天然のペプチドや従来のペプチドミメティクスとは異なる化学空間に位置する化合物群を提供するものであり、機能性分子設計の基盤技術となることが期待されます。

研究助成

本研究は、JSPS科研費(19K06977, 22K06530)、武田科学振興財団、鈴木謙三記念医科学応用研究財団、小川科学技術財団、ヨウ素学会ヨウ素研究助成、COMIT創薬シーズ共同研究などの支援を受けて実施されました。

論文情報・掲載誌


本研究成果は、岐阜薬科大学合成薬品製造学研究室(村木千優氏、友野僚祐氏、魚住龍成氏、多田教浩講師、伊藤彰近教授)と、株式会社リガク(清田祥生氏)による共同研究であり、アメリカ化学会(American Chemical Society)発行の学術誌 The Journal of Organic Chemistry に掲載されました。

研究のポイント

超原子価ヨウ素試薬を用いた求電子的エチニル化とクリック反応を組み合わせた、アミノトリアゾラマーの合成法を確立
触媒の使い分けにより、4-アミノトリアゾラマーおよび5-アミノトリアゾラマーの選択的合成に成功
X線結晶構造解析により、右巻き螺旋状およびチューブ状のユニークな自己集合構造を形成することを解明

論文情報

雑誌名:The Journal of Organic Chemistry
論文名:Synthesis of 4- and 5-Aminotriazolamers via Iterative Electrophilic Ethynylation and Azide−Alkyne Cycloaddition
著者:Chihiro Muraki, Ryosuke Tomono, Ryusei Uozumi, Norihiro Tada, Yoshiki Kiyota, and Akichika Itoh
巻号:90巻、47号
ページ:16794‒16799
DOI:10.1021/acs.joc.5c02149
論文URL:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.joc.5c02149

研究室HP


https://www.gifu-pu.ac.jp/lab/gousei/