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京都大学 研究Discovery Saga
2025年12月24日

圧力がハイパーハニカム構造を安定化する

―高容量電池・量子磁性材料への期待―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
高容量リチウムイオン電池材料やキタエフ量子スピン液体候補材料の探索研究を加速させる新たな設計指針として期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学複合領域数物系科学総合理工工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
機械学習/学習支援/スピン液体/量子スピン/正極材料/量子スピン液体/電子物性/イリジウム/リチウムイオン電池/高圧合成/熱力学/磁性材料/電池/シミュレーション/スピン/ネットワーク構造/リチウム/構造制御/酸化物/第一原理/第一原理計算/結晶構造/ルテニウム


圧力の効果によるハニカム構造(黒)からハイパーハニカム構造(黄色)への変換を発見 (Université de Bordeaux / Cédric Tassel, and Kyoto University / Kantaro Murayama)

概要

自然界に多く見られる蜂の巣構造(ハニカム格子)は、結晶材料においても重要な役割を果たす代表的な二次元ネットワーク構造です。一方、その三次元拡張に相当する「ハイパーハニカム格子」は、高い構造安定性や独自の電子物性が期待されながらも、実現例が極めて限られていることが課題でした。物質エネルギー化学専攻の村山寛太郎 博士後期課程学生、セドリック・タッセル准教授(研究当時、現ボルドー大学教授)、陰山洋 教授らの研究グループは、高圧合成法を用いることでハイパーハニカム構造を安定化し、完全なリチウム脱離挙動の実証に成功しました。
本研究では、スズ(Sn)が二次元ハニカム状に並ぶ酸化物Li2SnO3に着目し、高圧条件下で構造が二次元ハニカム格子から三次元ハイパーハニカム格子へ変換することを発見しました。さらに、最新の第一原理計算と化学結合解析、機械学習支援型シミュレーションにより、圧力が三次元格子の熱力学的安定化に寄与することを理論的に裏付けました。加えて、スズをルテニウム(Ru)で部分置換したLi2(Sn,Ru)O3を正極材料として評価したところ、100%のリチウム脱離(高容量化)を実現しました。ハイパーハニカム格子を持つ材料で、このような完全脱離挙動が確認された例としては、Li2IrO3に続き二例目となります。特に、ルテニウムはイリジウム(Ir)と比較して資源量が多く入手性に優れることから、より実用・応用研究へとつながる重要な材料系と位置づけられます。本研究は、圧力を鍵とした結晶構造制御が材料機能の設計に直接つながることを示した先駆的成果であり、今後、高容量リチウムイオン電池材料やキタエフ量子スピン液体候補材料の探索研究を加速させる新たな設計指針として期待されます。
本成果は、2025年12月15日に国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」にオンライン公開されました。
研究詳細
圧力がハイパーハニカム構造を安定化する ―高容量電池・量子磁性材料への期待―

研究者情報

陰山 洋京都大学教育研究活動データベース

書誌情報

タイトル
Pressure-Induced Stabilization of 3D Hyperhoneycomb Li2(Sn1–xRux)O3(圧力誘起による3次元ハイパーハニカムLi2(Sn1–xRux)O3の安定化)
著者
Kantaro Murayama, Aierxiding Abulikemu, Aurélie Champagne, Francesco Ricci, Prashanth Sivakumar, Jeaniero Ralaitsizafy Andrianjafetra, James I. Murrell, Kei Morisato, Koji Okada, David Hemker, Yoshiharu Uchimoto, Laurence Croguennec, Richard Dronskowski, Cédric Tassel* and Hiroshi Kageyama*
掲載誌
Journal of the American Chemical Society
DOI 10.1021/jacs.5c09574
KURENAI

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