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岡山大学 研究Discovery Saga
2025年12月17日

コオロギの器官再生における活性酸素の役割を解明

―コオロギが教えてくれた「再生のカギ」―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
陸上動物の器官再生における活性酸素の役割はほとんど解析例がなく、再生能の低いヒトの再生医療への応用につながると期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学生物学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
オープンアクセス/プラナリア/消化管/器官再生/発生生物学/ROS/活性酸素/再生医療/細胞分裂

2025年12月16日

発表のポイント

陸上動物の器官再生における活性酸素の働きを明らかにしました。
再生過程で細胞分裂が増加する時期に、活性酸素の産生も増加していました。
活性酸素は、再生過程の細胞分裂だけでなく、かさぶたの形成や傷口の修復、血球の移動も制御することが分かりました。

 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の廣野(奥村)美紗大学院生、学術研究院医歯薬学域 細胞組織学分野の板東哲哉講師、大内淑代教授、学術研究院医歯薬学域 腎泌尿器科学の荒木元朗教授、徳島大学 先端酵素学研究所 生体機能学分野の濱田良真助教らの共同研究グループは、コオロギの脚の再生において活性酸素が再生を促進するメカニズムを明らかにしました。
 ヒトは再生能が低く、手足を失うと再生しません。プラナリアやゼブラフィッシュ、アホロートルなど再生能が高い生物では、器官の損傷によって産生される活性酸素が細胞分裂を増加させ、失われた器官の再生を促進します。本研究では、コオロギの脚再生における活性酸素の働きを解析しました。活性酸素は細胞分裂の増加だけでなく、かさぶたの形成や再生組織への血球の移動にも関与することが分かりました。さらに、消化管の恒常性の維持や幼虫期の成長、外骨格の形成にも活性酸素が必要であることが判明しました。陸上動物の器官再生における活性酸素の役割はほとんど解析例がなく、再生能の低いヒトの再生医療への応用につながると期待されます。
 本研究成果は11月20日、英国の発生生物学雑誌『Development』に掲載されました。研究内容が雑誌のリサーチハイライトとして紹介され、著者らのインタビューも掲載されました。
◆研究者からひとこと
 失われた組織が元通りに再生するという生命の不思議に魅せられ、研究に取り組んできました。
 実験結果が予想と違うことの連続で、大変なことも多く、時間も要しましたが、無事論文として形にできたこと、大変うれしく思います。
 コオロギは食べておいしいだけでなく、私たちに再生のヒントを与えてくれる貴重な存在です。
 大変お世話になりました板東先生、大内先生はじめ細胞組織学教室の皆さま、ならびに泌尿器科、徳島大学の先生方に心より感謝申し上げます。



(左)廣野(奥村)大学院生、(右)板東講師

論文情報

論 文 名:ROS produced by Dual oxidase regulate cell proliferation and haemocyte migration during leg regeneration in the cricket
掲 載 紙:Development
著  者:Misa Okumura-Hirono, Tetsuya Bando, Yoshimasa Hamada, Motoo Araki, Hideyo Ohuchi
リサーチハイライトhttps://journals.biologists.com/dev/article/152/22/e152_e2203/369931/
著者インタビューhttps://journals.biologists.com/dev/article/152/22/dev205353/369916/

研究資金

 本研究は、日本学術振興会(JSPS)の科学研究費助成事業(18K06184, 21K06121, 24K09412)の支援を受けて実施されました。本論文は「岡山大学オープンアクセス推進に係る論文掲載料支援」を受けています。

<詳しい研究内容について>
コオロギの器官再生における活性酸素の役割を解明―コオロギが教えてくれた「再生のカギ」―

<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院 医歯薬学域 細胞組織学分野
講師 板東 哲哉
(電話番号)086-235-7081