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大阪大学 研究Discovery Saga
2025年12月6日

コロナ禍の日本の社会心理を 30回・4年以上追跡したデータセットを公開

世界的にも稀な長期パネル調査データを整備

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学複合領域工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
クラウドソーシング/オープンサイエンス/オープンデータ/クラウド/ソーシャルネットワークサービス(SNS)/フレームワーク/メディア研究/情報学/匿名化/行動科学/コロナ禍/持続可能/パネル調査/リスク認知/持続可能な開発/情報提供/パネルデータ/ウイルス感染症/パンデミック/意識調査/外傷/感染症対策/新型コロナウイルス/ウイルス/コミュニケーション/ストレス/ワクチン/感染症/公衆衛生/心理的ストレス/新型コロナウイルス感染症
2025-12-1●社会科学系人間科学研究科教授三浦 麻子

発表のポイント

日本の成人を対象に、2020年1月〜2024年3月の約4年間にわたり、計30回のパネル調査を行い、コロナ禍の心理・行動・態度の変化を継続的に追跡。
リスク認知・感染予防行動・政策支持・外国人への態度・心理的ストレスなどの匿名化された生データと、詳細なコードブックおよび調査票一式を、オープンデータとして公開。
他に類を見ない大規模な長期パネルデータを、国内外の研究者・実務家・教育現場が再分析や国際比較、授業等で利用できる研究インフラとして整備。

発表概要

大阪大学大学院人間科学研究科(感染症総合教育研究拠点兼任)の三浦麻子教授と、同志社大学文化情報学部の山縣芽生助教(感染症総合教育研究拠点連携研究員)の研究グループは、2020年1月から2024年3月までの約4年間にわたり、日本の成人を対象として、COVID-19禍における心理・行動・態度の変化を30回にわたって追跡したパネル調査データを、誰でも利用できる研究インフラとして整備しました。
本成果は、2025年11月24日に国際誌Data in Briefにデータ論文として公開されました。
本データは、リスク認知、感染予防行動、政策支持、外国人に対する態度、心理的ストレスなどを同一個人から繰り返し測定したものであり、コロナ禍関連の社会心理データとして30回に及ぶ長期パネルは、国際的にもほとんど類例がありません。データ一式はオープンサイエンス・フレームワーク(OSF)上で一般公開されており、研究や教育に限らず政策検討など幅広い分野の用途で、自由に二次利用することができます(CC BY-NC-ND 4.0)。



図1. 新型コロナに対するリスク認知・関心の時系列推移

研究の背景

新型コロナウイルス感染症の流行は、日本社会の生活や人間関係、政治・行政への信頼に大きな影響を与えました。人びとの不安やリスク認知、マスク着用などの行動、外国人へのまなざしなどは、流行初期から長期化、そして「5類」移行後までの間に大きく変化してきました。
これまでにも特定時期の意識調査や、短期的な追跡研究は多く行われていますが、同一個人を対象に何年にもわたり繰り返し調査し、日本のコロナ禍全体をカバーする長期パネルデータはほとんど存在しません。
また、コロナ禍に関する研究は膨大にありますが、様々な研究チームが独自にデータを収集しているため、研究の比較や結果を再現・検証することが難しいという問題もありました。
本研究では、一つの研究グループだけが使うためのデータではなく、広く再利用されることを前提としたオープンな長期パネルデータを整備し、データ論文として公開しました。

研究の内容

(1)調査の概要
● 調査期間:2020年1月〜2024年3月
● 調査回数:30回
● 実施期間:初期は2週間〜1か月間隔、その後は2ヶ月間隔
● 調査対象:日本在住の成人(クラウドソーシングサービス登録者)
● 第1回:1,248名、第13回で同条件の追加サンプル600名を加え、その後も追跡を継続
(2)主な測定内容
各波の共通項目に加え、その時々の社会状況に応じた項目を追加し、以下の内容を測定しました。
● 新型コロナへの関心
● リスク認知(恐ろしさ・未知性の2次元)
● マスク着用・手指消毒・外出自粛などの感染予防行動・行動抑制
● 公衆衛生政策への賛否、人権制約に対する考え方
● 外国人に対する印象、内集団びいき、外国人との接触頻度など
● 情報源(テレビ・SNSなど)の利用頻度や、新型コロナに関する知識問題
● 心理的ストレス、道徳基盤、心的外傷後成長など
● 社会的混乱の認知、生活の変化、感染者との接触経験
● ワクチン接種状況・接種意図、政治的イデオロギー、回顧的な記憶のバイアス など
(3)公開データの内容
本成果は、個別の仮説検証を行う通常の論文ではなく、データそのものを紹介し、再利用促進を目的とする「データ論文」です。公開内容は以下のとおりです。
● 匿名化された項目レベルの生データ(全30回/各回)CSVファイル)
● 詳細なコードブック(日本語原文・英訳、尺度、各波での有無、逆転項目の情報など)
● 第1〜30回の調査票一式(オープンサイエンス・フレームワーク(OSF)上で、CC BY-NC-ND 4.0ライセンスのもと公開)
代表的な変数の平均値の推移については、以下のウェブサイトで公開しています。
● 阪大_COVID-19禍心理・行動・態度推移グラフ
http://team1mile.mydns.jp:8080/handai-covid19/
研究者だけでなく、報道機関・行政・教育現場でも、コロナ禍の心理・行動・態度の変化を一望する資料として活用可能です。なお、ブラウザの設定によってはセキュリティ警告や「安全ではない」といった表示が出る場合がありますが、当方にて本サイトへのアクセスが安全であることを確認しています。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

1. 日本のコロナ禍の「記録」を残す長期パネルデータ
● パンデミックの立ち上がりから「5類」移行後まで、同じ人びとの心理・行動・態度を追いかけたデータは、将来の研究・教育にとって貴重な基盤になります。
2. 多様な分野での二次利用・国際比較を支える研究インフラ
● 社会心理学・公衆衛生・政治学・社会学・メディア研究・行動科学など、さまざまな分野の研究者が、追加の調査なしで詳細な分析や再検証(たとえば、理論の検証や政策評価に役立つ分析など)を行えます。
● 英訳付きコードブックにより、海外研究者が自国データと比較する際の参照データとしても使えます。
3. 今後の健康危機や危機コミュニケーションへの備え
● 新たな感染症や災害発生時に、「前回の危機では、人びとの認知や行動がどのように変化したのか」を検討するうえで、本データは重要な参照枠になります。
● 行政や医療機関、専門家が、より効果的な情報提供や対策を考える際のエビデンスとしても活用できます。

特記事項

本研究成果は、2025年11月24日に国際学術誌Data in Brief(オンライン)に掲載されました。
タイトル:“Dataset of social psychology in Japan during COVID-19: a 30-wave panel (January 2020–March 2024)”
著者名:Asako Miura and Mei Yamagata
DOI:https://doi.org/10.1016/j.dib.2025.112279
なお、本研究は、大阪大学大学院人間科学研究科ヒューマン・サイエンス・プロジェクト、日本財団・大阪大学 感染症対策プロジェクト、および日本学術振興会 科学研究費補助金(課題番号 24K21500)の支援を受けて実施されました。

参考URL

三浦 麻子 教授 研究者総覧
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/9bdf67161c88e954.html

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