肝疾患の早期発見を目指して 新しいバイオマーカー候補の有効性を検証
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 血液検査など、患者への負担が少ない方法で肝線維化の早期診断への応用が期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
持続可能/持続可能な開発/診断法/獣医学/ビタミン/肝線維化/肝がん/肝硬変/肝疾患/早期診断/アルコール/エラスチン/コラーゲン/ビタミンA/血液/ウイルス/バイオマーカー/危険因子/線維化/早期発見
2025年12月4日
獣医学研究科
プレスリリース
発表のポイント
◇血しょう中に存在するエラスチン(弾性線維)※1の形成に関わるフィブリン5(FBLN5)※2というタンパク質を検証。◇肝線維化※3の進行に伴い、FBLN5の量が上昇することが判明。
◇血液検査など、患者への負担が少ない方法で肝線維化の早期診断への応用が期待。
発表概要
肝臓において、アルコール摂取過多やウイルス感染などによる損傷が長く続くと、肝星細胞※4がコラーゲン線維を作り、修復しようとします。この肝臓の線維化が進行すると肝機能が低下する肝硬変になります。また、肝線維化は肝がんの最大の危険因子であるといわれているため、早期診断法の開発が望まれています。大阪公立大学大学院獣医学研究科の松原 三佐子准教授、安井 豊研究員(研究当時)、医学研究科の榎本 大准教授、河田 則文特任教授らの研究グループは、ヒト肝星細胞を用いて血しょう中に存在するFBLN5というタンパク質を検証したところ、FBLN5の量は肝線維化の進行に伴い上昇することが分かりました。本研究結果により、肝線維化の早期診断や進行度評価を、血液検査などの患者への負担が少ない方法で実施できる可能性が示されました。
本研究成果は、2025年10月10日に国際学術誌「Gastro Hep Advances」にオンライン掲載されました。

私たちはこれまで、体に負担をかけずに肝線維化を早期に見つけるマーカーを探してきました。今回、弾性線維をつくるタンパク質「FBLN5」が、線維化の進行にあわせて血液中に増えることを確認できたのは大きな成果です。今後は、このFBLN5を使ったより正確で簡便な検査法の開発を進めていきたいと考えています。

松原 三佐子准教授
掲載誌情報
【発表雑誌】Gastro Hep Advances, Original Research—Clinical Articles in Press, 100827
【論 文 名】Plasma fibulin-5 as a novel marker for advanced fibrosis in chronic hepatitis C
【著者】Yutaka Yasui, Misako Sato-Matsubara, Masaru Enomoto, Tsutomu Matsubara, Mana Kosugi, Kirara Inoue, Truong Huu Hoang, Hideto Yuasa, Hideki Fujii, Atsuko Daikoku, Yoshihiro Ikura, Etsushi Kawamura, Sawako Uchida-Kobayashi, Akihiro Tamori, Norifumi Kawada.
【掲載URL】https://doi.org/10.1016/j.gastha.2025.100827
資金情報
本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)23fk0210107の支援を受けて実施しました。
用語解説
※1 エラスチン(弾性線維):皮膚や血管などの弾力を保つタンパク質。※2 フィブリン5(FBLN5):Fibrillin-5。エラスチンの形成に関わるタンパク質。今回の研究で、肝星細胞の活性化と肝線維化の進行に伴い増加することが見出された。血液中でも検出可能で、肝線維化マーカーとして注目される。
※3 肝線維化:肝臓の中にコラーゲンなどの線維性物質が過剰にたまり、柔らかい肝臓の組織が次第に硬くなる状態。これが進むと肝臓の働きが落ち、最終的には肝硬変や肝がんの発生につながる。
※4 肝星細胞:肝線維化の中心的な役割を担う細胞で、正常時はビタミンA貯蔵し肝臓の恒常性維持を担うが、肝臓が傷つくと活性化してコラーゲンなどの線維成分を産生する。
問い合わせ先
研究内容に関する問い合わせ先
大阪公立大学大学院獣医学研究科
准教授 松原 三佐子(まつばら みさこ)
TEL:072-463-5297
E-mail:mmatsubara[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
大阪公立大学 研究


