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京都大学 研究Discovery Saga
2025年12月2日

脂質受容体のGタンパク質選択機構を解明

―副作用のない治療薬開発の創薬基盤を提供―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
特定のシグナル経路を意図的に選んで活性化できる薬の設計を促進すると期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学工学総合生物農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
タンパク質複合体/選択性/電子顕微鏡/生体内/リン酸/クライオ電子顕微鏡/分子機構/GPCR/Gタンパク質/受容体/創薬/副作用/脂質
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

萩原正敏 医学研究科特任教授、山内萌々乃 同博士課程学生らの研究グループは、岩田想 同教授、林到炫(イム・ドヒョン)同准教授との共同研究により、Gタンパク質共役受容体(GPCR)であるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体3(S1PR3)とGqタンパク質複合体構造をクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析により決定しました。GPCRは重要な創薬標的であり、現在、米国食品医薬品局(FDA)で承認されている薬の約30%が標的としています。その一方で、意図しないシグナルが伝達され副作用が生じる問題は未だ解決されておらず、GPCR創薬において最大の課題となっています。安全かつ効果的な創薬を実現するには、選択的シグナル伝達の分子機構の解明が不可欠です。
 本研究は、2種類の生体内の脂質(d18:1 S1P、d16:1 S1P)が結合したS1PR3-Gq複合体構造をそれぞれ取得し、同じGPCRが特定のGタンパク質シグナルを伝達するために必要な相互作用を特定しました。この成果は、特定のシグナル経路を意図的に選んで活性化できる薬の設計を促進すると期待されます。
 本研究成果は、2025年11月18日に、国際学術誌「PNAS(米国科学アカデミー紀要)」にオンライン掲載されました。


本研究で明らかにした2種類のS1PR3-Gq複合体の全体構造
研究者のコメント
「本研究では、S1P受容体の構造解析を通じて、シグナル選択性を生み出す分子メカニズムの一端を明らかにできました。この知見が、GPCRを標的とする副作用の少ない安全な治療薬の開発に貢献できれば嬉しく思います。今後も、構造情報を手がかりに生命現象の理解を進めていきたいと思います。」(山内萌々乃)

詳しい研究内容について

脂質受容体のGタンパク質選択機構を解明―副作用のない治療薬開発の創薬基盤を提供―

研究者情報

研究者名 萩原 正敏
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 Momono Yamauchi ORCID 研究者名 岩田 想
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 林 到炫
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1073/pnas.2507421122
  【書誌情報】
Momono Yamauchi, Dohyun Im, Shintaro Maeda, Tatsuya Ikuta, Masayasu Toyomoto, Hidetsugu Asada, Yukihiko Sugita, Jun-ichi Kishikawa, Takeshi Noda, Takayuki Kato, Asuka Inoue, So Iwata, Masatoshi Hagiwara (2025). Structural insights into the G-protein subtype selectivity revealed by human sphingosine-1-phosphate receptor 3-Gq complexes.Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS), 122, 47, e2507421122.

関連部局

医学部・医学研究科