何が野生鳥獣肉の消費者受容を阻んでいるのか
―品質不安の克服と最初の一口が普及の鍵―
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
2025年12月 2日 11:00
研究者情報
〇大学院農学研究科 准教授 井元智子研究室ウェブサイト
発表のポイント
野生鳥獣の被害が深刻化する中、捕獲個体を食資源として活用するジビエ利用(注1)が注目されているものの、国内では利用が十分に進んでいません。ジビエ(注2)の利用拡大の鍵は消費者がどうしたら受け入れるかにあります。そこで、心理的要因と環境への態度、喫食経験との関連性を調査・分析しました。
ジビエ普及を阻む重要な要因として、「馴染みのない食品への抵抗感」とそれに伴う「品質への不安」が特定されました。
ジビエの喫食意向は、品質への認識や環境・倫理への意識によって高まることが示されました。
試食機会の提供や品質への安心感の確保が、ジビエの普及と地域資源の有効活用につながることを示しています。
発表概要
野生鳥獣による農作物被害が深刻化する中、捕獲された鳥獣の肉(ジビエ)の8割以上は廃棄されており、貴重な持続可能な食料資源が十分に活用されているとは言えません。東北大学大学院農学研究科の井元智子准教授の研究チームは、ジビエの利用拡大を阻む消費者の心理的要因を調べる目的で、全国の成人(20代から60代)を対象とした調査を実施しました。有効回答537名の回答を分析した結果、喫食意向に影響する主な要因は、品質に対する認識と持続可能性・倫理への意識であることが分かりました。特に、「フード・ネオフォビア(食物新奇性恐怖)」(注3)が品質への不安と結びつき、消費を妨げる重要な心理的障壁となっています。また、回答者の約4割がジビエの喫食経験を持ち、未経験者に比べると品質を高く評価し、喫食意向も強い傾向が見られました。本研究は、品質認識の理解向上や試食機会の提供を通じて消費者の心理的障壁を解消することが、ジビエの利用を進める鍵であることを提言しています。
本研究成果は2025年10月30日に学術誌Food Quality and Preferenceに掲載されました。

図1. 研究の概要図
用語解説
注1. ジビエ利用捕獲された鳥獣の肉を食用として利用すること。
注2. ジビエ
フランス語で、狩猟によって食材として捕獲された野生の鳥獣、またはその肉を指します。
注3. フード・ネオフォビア(Food Neophobia)
食物新奇性恐怖とも呼ばれ、新奇または馴染みのない食品に対して強い回避傾向を示す人格特性です。
論文情報
タイトル:Game Meat Acceptance in Japan: Behavioral Determinants and the Role of Food Neophobia著者:胡欣怡、井元智子*
*責任著者:東北大学大学院農学研究科・環境経済学分野 准教授・井元智子
掲載誌:Food Quality and Preference
DOI:10.1016/j.foodqual.2025.105768
詳細(プレスリリース本文)
問い合わせ先
(研究に関すること)東北大学大学院農学研究科環境経済学分野
准教授 井元智子
Email: t-imoto*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院農学研究科
総務係
TEL: 022-757-4006
Email: agr-syom*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)


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