口腔内のむし歯菌量と慢性腎臓病の関係
クロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いたうがいによる蛋白尿の減少効果
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
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【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
2025-11-21●生命科学・医学系歯学研究科教授仲野 和彦発表のポイント
慢性腎臓病患者の唾液中のむし歯菌を測定すると、むし歯菌の多い群は蛋白尿が有意に多いことを発見した。慢性腎臓病患者がクロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いてうがいを行うことで、口腔内に存在するむし歯菌が減少するとともに、蛋白尿が減少する可能性を見出した。
マウスウォッシュを用いたうがいによる慢性腎臓病の改善につながることが期待される。
発表概要
大阪大学大学院歯学研究科口腔全身連関学共同研究講座の仲野和彦教授および同講座招へい教員である聖隷浜松病院腎臓内科の三﨑太郎部長らの研究グループは、慢性腎臓病患者において唾液中のむし歯菌量が多い群は蛋白尿が有意に多いことを発見し(図1)、クロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いてうがいを行うことで、口腔内に存在するむし歯菌が減少するとともに、蛋白尿の改善へとつながる可能性(図2)を示しました。近年、むし歯菌と慢性腎臓病の原因疾患の一つであるIgA腎症との関連が報告されていますが、マウスウォッシュを用いたうがいを行うことによって、口腔及び全身の状態にどのような影響を及ぼすかは解明されていませんでした。
まだ予備的検討の段階ですが、将来的に、慢性腎臓病患者がマウスウォッシュを用いたうがいを行うことで、むし歯菌の数の減少だけでなく慢性腎臓病の改善にもつながることが期待されます。
本研究成果は、日本医師会が日本医学会との協力のもとに発行する英文総合医学雑誌「JMA Journal」に11月21日(金)9時(日本時間)に公開されました。

図1. 研究開始時点のむし歯菌量と蛋白尿との関係

図2. うがいによるむし歯菌量の減少と蛋白尿減少の可能性
研究の背景
近年、むし歯菌をはじめとする口腔細菌とIgA腎症などの慢性糸球体腎炎との関連が示されています。むし歯はミュータンス菌というむし歯菌により引き起こされ、歯科医院での治療や歯磨き、うがいなどの家庭での口腔ケアによってむし歯菌を減少させることで、むし歯を抑制できることが知られています。しかし、マウスウォッシュを用いたうがいなどの口腔ケアを行うことによって、口腔及び全身の状態にどのような影響を及ぼすかについては解明されていませんでした。
研究の内容
慢性腎臓病患者にクロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いて12ヶ月間うがいを行ったところ、6ヶ月後と比較して12か月後に蛋白尿の平均値が有意に低下しました。また、12ヶ月後に虫歯菌量1000CFU/mL未満に減少したグループは他のグループと比較して蛋白尿0.3g/gCr未満を達成する割合が有意に高いことが分かりました。このことから口腔内に存在するむし歯菌が減少することで、蛋白尿が改善する可能性を見出しました。本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
うがいは家庭で行うことのできる口腔ケアの中でも簡便であることから、日々の口腔ケア習慣に取り入れやすいです。現在はまだ予備的検討ですが、慢性腎臓病患者が歯科医院におけるプロフェッショナルケアを受けるとともに、マウスウォッシュを用いたうがいなどのセルフケアに取り組んでいただくことで、口腔内の環境改善だけでなく、慢性腎臓病の改善にもつながることが期待されます。特記事項
本研究成果は、2025年11月21日(金)9時(日本時間)に日本医師会が日本医学会との協力のもとに発行する英文総合医学雑誌「JMA Journal」に掲載されました。タイトル:“Association between oralStreptococcus mutans counts and proteinuria in patients with chronic kidney disease: a pilot study using chlorhexidine”
著者名:Taro Misaki, Yuto Suehiro, Shuhei Naka, Daiki Matsuoka, Kana Suehara, Seigo Ito, Yasuyuki Nagasawa, Rena Okawa, Ryota Nomura, Michiyo Matsumoto-Nakano, Kazuhiko Nakano
DOI:10.31662/jmaj.2025-0375
なお、本研究はウエルテック株式会社からの資金提供により行われました。
参考URL
仲野和彦 教授https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/4914a008eeba8fd0.html
大阪大学 研究