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京都大学 研究Discovery Saga
2025年11月18日

病原体への抵抗性か?ガス交換か?

―植物の進化におけるトレードオフ―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
アブラナ科/トレードオフ/共進化/光合成/アブラナ科植物/シロイヌナズナ/育種学/抵抗性/病原体/遺伝子発現制御/発現制御/遺伝子/遺伝子発現/細菌
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

気孔は葉の表面に存在する小さな穴で、光合成に必要なガス交換を担う重要な器官であると同時に、植物と細菌が繰り広げる攻防の最前線でもあります。植物は気孔を閉じることで細菌の侵入を防ぎますが、病原細菌は閉じた気孔を再び開かせることが知られていました。しかし、その仕組みの詳細は長らく不明でした。
 峯彰 農学研究科准教授、平田梨佳子 同特定研究員、津田賢一 中国・華中農業大学(Huazhong Agricultural University)教授らの研究グループは、病原細菌がシロイヌナズナの遺伝子発現制御の仕組みを転用することで、気孔を再び開かせることを発見しました。さらに、この遺伝子発現制御の仕組みは本来、シロイヌナズナが朝の光に応じて素早く気孔を開き、ガス交換を開始するために欠かせないものであることを突き止めました。加えて、シロイヌナズナに近縁のいくつかのアブラナ科植物では、この遺伝子発現制御が起こらない代わりに、病原細菌による気孔開口に対して抵抗性を示すことを発見しました。これは、気孔を速やかに開くための仕組みを犠牲にする一方で、細菌抵抗性が発揮されることを示す例であり、植物の進化における重要な「トレードオフ」を明らかにした成果です。
 本研究成果は、2025年11月17日に、国際学術誌「Current Biology」にオンライン掲載されました。
 

研究者のコメント
「本研究は、今から10年前、私がドイツ・マックス・プランク植物育種学研究所(Max Planck Institute for Plant Breeding Research)の津田先生(現:華中農業大学)の研究室に留学していた時に始めたものです。その後、私が日本に戻り、津田先生が中国に移られてからも共同研究を続け、大きな成果として発表することができました。植物と病原体の共進化に関する本研究を通じて、『他者と関わって生きること』の面白さとその難しさを学ばせていただきました。」(峯彰)

詳しい研究内容について

病原体への抵抗性か?ガス交換か?―植物の進化におけるトレードオフ―

研究者情報

研究者名 峯 彰
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 平田 梨佳子 Researchmap

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.cub.2025.10.037

【書誌情報】
Wenshang Kang, Masahito Nakano, Kaori Fukumoto, Rikako Hirata, Pei Zhai, Yulin Du, Kunqi Hong, Jörg Ziegler, Yayoi Tsuda, Dieter Becker, Eiji Nambara, Ryohei Thomas Nakano, Shunsuke Miyashima, Akira Mine, Xiaowei Han, Kenichi Tsuda (2025). Evolutionary trade-off between stomatal defense and gas exchange in Brassicaceae.Current Biology.

関連部局

農学部・農学研究科