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富山大学 研究Discovery Saga
2025年11月11日

アコヤガイのへい死や低品質真珠形成を起こす 殻黒変病の原因細菌の全ゲノム配列を解読

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
殻黒変病の全容解明, 予防や対策戦略を考える上で重要な知見になることが期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
ゲノム配列/病原菌/アコヤガイ/微生物/ゲノム/遺伝子/感染症/細菌

発表のポイント

殻黒変病の原因細菌 (Pbs-1株) の詳細な種を同定
養殖魚介類の滑走細菌症※1)の臨床症状にシデロフォア※2)合成遺伝子の有無が影響する可能性
Pbs-1株が産生するシデロフォア活性は15℃で大きく減少

概要

 富山大学学術研究部理学系の酒徳昭宏講師のグループは, 真珠形成母貝アコヤガイのへい死や低品質真珠形成を起こす殻黒変病の原因細菌 (Pbs-1株) の全ゲノム配列を解読することに成功しました。そしてこの配列を用いて, Pbs-1株の詳細な種が同定されました。また, 他の養殖魚介類に滑走細菌症を引き起こす近縁種の全ゲノム配列も用いて, 病原因子の1つと推定されているシデロフォア関連遺伝子を網羅的に検出したところ, Pbs-1株を含む多くのTenacibaculum株はシデロフォア合成遺伝子を保持していましたが, いくつかのTenacibaculum株は保持していませんでした。このようなシデロフォア合成遺伝子の存在の違いが, 滑走細菌症の臨床症状に影響する可能性が示唆されました。一方で, 様々な条件下でPbs-1株を培養した際のシデロフォア活性を測定したところ, 15℃以下では大きく減少することが明らかになりました。本研究成果は, 殻黒変病の全容解明, 予防や対策戦略を考える上で重要な知見になることが期待されます。
 本研究成果は,「Aquaculture」に 2025年11月4日(火)(日本時間)に掲載されました。


用語解説

※1)滑走細菌症
Tenacibaculum属 (主にTenacibaculum maritimum) によって引き起こされる魚類の細菌性疾病。アトランティックサーモンやニジマスなど様々な養殖魚で発生しており, 世界中で拡大しています。
※2)シデロフォア
シデロフォアとは, 微生物が鉄分の不足した環境下で産生する, 鉄 (III) イオンと強力に結合するキレート剤。病原菌による感染症と関連する可能性が示唆されています。

研究内容の詳細

アコヤガイのへい死や低品質真珠形成を起こす 殻黒変病の原因細菌の全ゲノム配列を解読[PDF, 772KB]

論文情報

論文名

The complete genome sequence of Tenacibaculum sp. isolate Pbs-1, the bacterial strain causing black-spot shell disease in pearl oyster, and characterization of its siderophore as a putative pathogenic factor

著者

Akihiro Sakatoku, Takaya Suzuki, Kaito Hatano, Haku Akine, Juan Liu, Suphachai Tharavecharak, Daisuke Tanaka, Shogo Nakamura, Tadashi Isshiki, Ryo Orita, Nobuo Suzuki

掲載誌

Aquaculture

DOI

https://doi.org/10.1016/j.aquaculture.2025.743387

問い合わせ先

富山大学学術研究部理学系
講師 酒徳 昭宏

TEL::076-445-6674
E-mail: