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北海道大学 研究Discovery Saga
2025年11月6日

原子核変形と二重ベータ崩壊の新しい関連性が明らかに

~自然界の基本相互作用の解明への貢献に期待~(理学研究院准教授 野村昂亮)

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
自然界の基本相互作用とニュートリノの性質の理解の発展に期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学
【Sagaキーワード】
核構造/稀崩壊/原子核/原子核構造/対称性/保存則/ニュートリノ

2025年11月6日

発表のポイント

●ニュートリノレス二重ベータ崩壊における原子核形状の共存の効果を解明。
●原子核構造と稀崩壊の統一的な理論的手法の構築に貢献。
●自然界の基本相互作用とニュートリノの性質の理解の発展に期待。

発表概要

北海道大学大学院理学研究院の野村昂亮准教授は、原子核の稀崩壊であるニュートリノレス二重ベータ崩壊の予言における原子核変形の効果を、新たな観点から明らかにしました。ニュートリノレス二重ベータ崩壊は自然界の基本相互作用が要請する対称性・保存則を破る核崩壊であり、実験的に検出された場合、それは既存のパラダイムを超えた新しい物理を示唆します。この核崩壊プロセスの半減期の決定には原子核模型による核行列要素の計算が必要ですが、これまでの理論研究では、模型によってその予言値が大きく異なるという問題が知られています。核行列要素は、崩壊の親核及び娘核における変形などの多体相関に大きく影響されます。特に、基底状態近傍に複数の形状が現れる形状共存は、原子核構造を理解する上で重要な役割を持ちます。本研究では、原子核模型の一つである相互作用するボソン模型(IBM)の微視的な定式化を行うことで、ニュートリノレス二重ベータ崩壊核行列要素の新しい予言値を提示しました。特に親核及び娘核の構造計算に形状共存の効果を取り入れることによって崩壊が抑制されることが示されました。これはニュートリノレス二重ベータ崩壊の半減期の精密な予言にも繋がり、物理の基礎的な問題の解明に向け、現在世界中で精力的に行われている実験研究にも新たな知見を提供できるものと期待されます。
なお、本研究成果は、2025年10月30日(木)公開のPhysics Letters B誌に掲載されました。
論文名:Configuration mixing effects on neutrinoless ββ-decay nuclear matrix elements(ニュートリノレス二重ベータ崩壊核行列要素への配位混合の効果)
URL:https://doi.org/10.1016/j.physletb.2025.139995
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ニュートリノレス二重ベータ崩壊の親核またはその娘核の基底状態付近では、異なる形状が共存する場合があり、それが崩壊の半減期の決定に重要な役割を持つことが本研究で明らかとなった。図の|ΨX>と|ΨY>はそれぞれ親核、娘核の基底状態を表し、親核はレモン型形状を呈し、娘核では球形とミカン型形状の共存を模式的に示す。