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京都大学 研究Discovery Saga
2025年11月5日

原子核スピンの新しい秩序

―あり得ない領域で実現したスピン冷却―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
原子核スピンが発現した新秩序を発見した物理学的な意義と、冷却による固体NMRの感度向上への期待という化学的な意義を持つ
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学化学総合理工工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
原子核/磁気共鳴/分光学/磁場/固体NMR/核スピン/スピン/化学分析/周波数/分解能/高分解能/核磁気共鳴
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

武田和行 理学研究科准教授と鈴木康平 同博士課程学生の研究チームは、固体核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)において、原子核が持つ磁石(スピン)を断熱消磁冷却して局所的に揃える新たな方策を考案し、実験実証にも成功しました。このスピン冷却法は、高速試料回転下でも実行可能である点が最大の特徴です。高速回転は、原子核スピンの相互作用を消去して測定の分解能を上げることができる、化学分析としての固体NMRに欠かせない操作です。しかし、回転により消失する相互作用はスピン冷却に本質的な役割を果たします。このため、スピン冷却と高速試料回転による高分解能化学分析は両立できないと考えられてきました。本研究チームは視点を大胆に変え、二重回転でねじれ続ける座標系で断熱消磁が実行できれば、この制約を回避できることに気付き、振幅と位相に細かく変調を施したラジオ周波数磁場を原子核スピンに照射して、冷却状態を生成させることに成功しました。この成果は、原子核スピンが発現した新秩序を発見した物理学的な意義と、冷却による固体NMRの感度向上への期待という化学的な意義を持ちます。
 本研究成果は、2025年10月28日に、国際学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載されました。


原子核スピンのペアが変調ラジオ波磁場の照射を受けて局所的に揃っていくイメージ図
研究者のコメント
「これまで不可能と思われていたことを可能にできた点において、非常に面白いと感じました。この成果はNMR分光学の発展に資するだけでなく、量子技術の分野にも効果をもたらすと考えています。渾身の一撃です。」(武田和行) 

詳しい研究内容について

原子核スピンの新しい秩序―あり得ない領域で実現したスピン冷却―

研究者情報

研究者名 武田 和行
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 Kohei Suzuki ORCID

関連部局

理学部・理学研究科