難治性慢性活動性EBウイルス感染症を分子レベルで解明
―高メチル化と体細胞変異の蓄積が重症化に関与することを発見、新たな治療の可能性も―
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | CAEBVの病態理解とそれに基づく治療戦略の足掛かりに |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
この研究の主な対象者企業・研究者の方
公開日
概要
慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)は、EBウイルスに感染したT/ナチュラルキラー(NK)細胞が増殖し、多彩な症状を示すリンパ増殖性疾患です。東アジアや中米に集積し、本邦では全国調査から年間約100例の発症が推定されています。症状は消化器、神経、呼吸器など様々な臓器におよび、急激に進行して死に至るものから、長期間良好な経過を示す症例まで多岐にわたりますが、何故そのような様々な経過を辿るのかについては明らかになっていませんでした。滝田順子 医学研究科教授、赤澤嶺 同博士課程学生(現:静岡県立こども病院副医長)、三上貴司 同特定助教らは、CAEBV患者65例の血液やDNAサンプルを用いて、統合的オミクス解析を行いました。その結果、NK細胞型CAEBVにおいてプロモーター領域CpGアイランドのDNA高メチル化(CpG island methylator phenotype:CIMP)の有無により2群に分かれることを見出し、CIMP陽性群は特に予後不良であることを世界で初めて明らかにしました。またこの群は体細胞変異がより多く蓄積しており、DNAメチル化のパターンも悪性腫瘍に近いことを示しました。加えてDNAメチル化阻害薬であるアザシチジンが、CIMP陽性群に分類された患者由来のEBV感染NK細胞の増殖を抑制することを示し、新規治療薬となる可能性を見出しました。これらの成果は、CAEBVの病態理解とそれに基づく治療戦略の足掛かりになると考えられます。
本研究成果は、2025年8月5日に、国際学術誌「Blood」に掲載されました。

研究者のコメント 「CAEBVと闘う患者さんを受け持ったことが、今回の研究の出発点でした。今回の研究結果が少しでもこの病気に苦しむ患者さんの助けになることを心より祈っています。」(赤澤嶺)
詳しい研究内容について
難治性慢性活動性EBウイルス感染症を分子レベルで解明―高メチル化と体細胞変異の蓄積が重症化に関与することを発見、新たな治療の可能性も―研究者情報
研究者名 滝田 順子京都大学 教育研究活動データベース 研究者名 三上 貴司 Researchmap
京都大学 研究