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京都大学 研究Discovery Saga
2025年11月1日

ウイルスに感染した植物上ではアブラムシ産仔数が減少することを自然環境下で発見

〜ウイルスが宿主植物の遺伝子発現を変化させ昆虫被害を軽減〜

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
野生植物集団においてウイルス感染植物上のアブラムシ食害量および急激なウイルスの感染拡大が抑えられることが示唆
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
アブラナ科/アブラムシ/生態系/生態学/遺伝子発現解析/発現解析/網羅的遺伝子発現解析/ウイルス/遺伝子/遺伝子発現
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

大坪雅 生態学研究センター博士課程学生、本庄三恵 同准教授、工藤洋 同教授、西尾治幾 滋賀大学講師からなる研究グループは、カブモザイクウイルスに感染したアブラナ科多年草のハクサンハタザオ上で、アブラムシの産仔数が減少することを発見しました。さらに、網羅的遺伝子発現解析の結果、ウイルス感染はアブラムシの吸汁・繁殖を抑制するように植物の遺伝子発現を変化させることを明らかにしました。アブラムシは植物を吸汁し弱らせるだけでなく、ウイルスを運ぶ媒介者でもあります。そのため、アブラムシ数の減少は植物集団内のウイルス感染の拡大を抑制すると予想されます。これまで、ウイルスは感染植物上のアブラムシの行動を活発にすることで、感染を促進する例が報告されています。しかし、感染を抑制するようにアブラムシの行動が変化するという報告はなく、本研究が初めての報告です。本研究の結果、野生植物集団においてウイルス感染植物上のアブラムシ食害量および急激なウイルスの感染拡大が抑えられることが示唆されました。これにより、ウイルスと感染植物の長期的な関係を支える相互作用の一端が明らかになりました。
 本研究成果は、2025年10月14日に、国際学術誌「Molecular Ecology」にオンライン掲載されました。
 

研究者のコメント
「植物を育てていると、たくさんお世話をしていても、病気やアブラムシの大量発生に落ち込んでしまうことが多々あります。一方で自然環境下の植物は元気に生きていてとても不思議に思っていました。この研究で自然環境下では植物を介してウイルスや昆虫が関わり合って、共存できるようにバランスをとりながら生きている様子が見えてきました。これからも研究を続けて、自然環境下の不思議について明らかにしていきたいです。」(大坪雅)
「自然生態系では、必ずしも植物に重篤な被害を与えずウイルスが感染していることが分かってきています。ウイルス感染が、アブラムシの数を抑えるように植物の性質を変化させているという今回の発見は、自然界で三者が安定的に共存しているメカニズムの一端を明らかにできたと思っています。今後、農業生態系と異なる自然生態系での植物とウイルスの関係について、明らかにしていきたいです。」(本庄三恵)

詳しい研究内容について

ウイルスに感染した植物上ではアブラムシ産仔数が減少することを自然環境下で発見〜ウイルスが宿主植物の遺伝子発現を変化させ昆虫被害を軽減〜

研究者情報

研究者名 Miyabi Otsubo ORCID 研究者名 本庄 三恵
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 工藤 洋
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 西尾 治幾 Researchmap

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1111/mec.70140
【書誌情報】
Miyabi Otsubo, Haruki Nishio, Hiroshi Kudoh, Mie N. Honjo (2025). Turnip Mosaic Virus Infection in a PerennialArabidopsisReduces Aphid Fecundity in the Natural Environment.Molecular Ecology, e70140.

関連部局

生態学研究センター