HLAは原発性硬化性胆管炎の発症と関連する
―日本人集団における疾患感受性HLAアレルの同定―
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 原発性硬化性胆管炎の発症に、HLA分子が関連する事を示しており、今後の病態解明に向けた手がかりとなる可能性 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
この研究の主な対象者企業・研究者の方
公開日
概要
原発性硬化性胆管炎(Primary sclerosing cholangitis:PSC)は、肝内及び肝外胆管に慢性炎症及び線維性狭窄を来たし、閉塞性黄疸に伴う慢性肝障害から肝不全に至る原因不明の難治性肝疾患であり、世界的に病態解明に向けた努力が続けられています。欧州や北米からの研究によれば、本症には遺伝的素因があり、特にヒト白血球抗原(HLA)と本症発症との間には強い関連があることが報告されていましたが、日本人集団においてその関連は長らく不明のままでした。岡本竜弥 医学研究科助教、岡島英明 同非常勤講師(現:金沢医科大学教授)、伊藤孝司 同准教授、波多野悦朗 同教授らの研究グループは、本症に罹患し、本学医学部付属病院において肝移植を行なったPSC症例のHLAタイピング結果を集計し、これを健常日本人のコントロールと比較しました。また、HLA分子のアミノ酸配列についても比較を行ない、疾患と関連するアミノ酸変異の有無を調査しました。その結果、特定のHLAアレルを持つ個体で、本症への罹患が有意に多い事を見出し、さらに、これと有意に関連するアミノ酸変異も同定しました。これらの結果は、本症の発症に、HLA分子が関連する事を示しており、今後の病態解明に向けた手がかりとなる可能性があります。
本研究成果は、2025年10月23日に、国際学術誌「Liver International」にオンライン掲載されました。

研究者のコメント 「原発性硬化性胆管炎は、肝移植を行なった後もその病態の再発がしばしば経験され、他肝疾患と比較して移植後成績が劣るという点においても治療困難な肝疾患の1つであり、その病因の解明が強く望まれます。外科領域にいる私達にとって、HLAタイピングは臓器移植を安全に行なうために必須の検査であって、病因の解明を目的として行なっているわけではありません。しかしながら、その結果を詳細に振り返ってみると、本症発症の手がかりを示している可能性に気づかされます。今回の報告が、本症の解明に向けた努力に僅かでも貢献出来れば幸いです。」(岡本竜弥)
詳しい研究内容について
HLAは原発性硬化性胆管炎の発症と関連する―日本人集団における疾患感受性HLAアレルの同定―研究者情報
研究者名 岡本 竜弥京都大学 教育研究活動データベース 研究者名 Hideaki Okajima ORCID 研究者名 伊藤 孝司
京都大学 教育研究活動データベース 研究者名 波多野 悦朗
京都大学 教育研究活動データベース
京都大学 研究