核医学検査における医療スタッフの被ばく要因を特定
-リアルタイム線量評価による行動解析で安全対策を強化-
【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
![]() | 作業姿勢や遮蔽配置の最適化など、核医学領域における行動ベースの被ばく低減策に貢献することが期待 |
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
2025年10月23日 11:00
研究者情報
〇大学院医学系研究科 放射線検査学分野/災害放射線医学分野教授 千田浩一
放射線検査学分野ウェブサイト
災害放射線医学分野ウェブサイト
発表のポイント
放射性医薬品を扱う核医学検査では、医療スタッフの被ばくリスクが高く、その要因の特定が難しいという課題があります。秒単位で線量を記録できるリアルタイム線量計(注1)を活用し、作業中の被ばく上昇要因を初めて詳細に解析しました。
心筋血流シンチグラフィ(注2)検査において、右頸部の線量が最も高く、特に心電図リードの装着・除去時に線量ピークを確認しました。
得られた知見は、作業姿勢や遮蔽配置の最適化など、核医学領域における行動ベースの被ばく低減策に貢献することが期待されます。
発表概要
核医学検査では、放射性医薬品を用いるため、医療スタッフが被ばくするリスクが高いことが知られています。しかし、従来の受動型線量計(注3)は累積値しか記録できず、「いつ」「どの動作」で線量が上昇したのかを特定することは困難でした。東北大学大学院医学系研究科放射線検査学分野の藤沢 昌輝大学院生、千田 浩一教授(災害放射線医学分野)らの研究グループは、半導体式リアルタイム線量計を用い、核医学技師の頭部および頸部に線量計を装着して、1秒ごとに線量を記録し時系列解析を行いました。その結果、心筋血流シンチグラフィ検査において、右頸部の線量が最も高く、心電図リードの着脱や注射後処置の際に一時的な線量上昇が生じることを明らかにしました。これにより、具体的な行動と被ばくの関連を科学的に可視化することができ、実際の現場に即した防護教育やレイアウト改善に役立つ成果が得られました。
本研究成果は2025年10月14日付でApplied Sciences誌(オンライン版)に掲載されました。

図1. 心筋血流シンチグラフィのワークフロー
用語解説
注1.リアルタイム線量計:1秒ごとなど高い時間分解能で放射線量を記録、表示できる半導体式電子線量計。注2.心筋血流シンチグラフィ:放射性医薬品(99mTc-MIBIや99mTc-tetrofosminなど)を静脈内に投与し、心筋への血流分布を画像化する核医学検査。虚血性心疾患の診断や治療効果判定に用いられる。
注3.受動型線量計:放射線を検出した後、測定期間終了後に解析を行って累積線量を算出するタイプの線量計。
論文情報
タイトル:Real-Time Monitoring of Occupational Radiation Exposure in Nuclear Medicine Technologists: An Initial Study著者:Masaki Fujisawa*, Masahiro Sota, Yoshihiro Haga, Shigehisa Tanaka, Nozomi Kataoka, Toshiki Kato, Yuji Kaga, Mitsuya Abe, Masatoshi Suzuki, Yohei Inaba and Koichi Chida*
*責任著者
掲載誌:Applied Sciences
DOI:10.3390/app152011008
URL:https://www.mdpi.com/2076-3417/15/20/11008
詳細(プレスリリース本文)
問い合わせ先
(研究に関すること)東北大学大学院医学系研究科
放射線検査学分野/災害放射線医学分野
教授 千田 浩一(ちだ こういち)
TEL:022-717-7943
Email:koichi.chida.d8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
TEL: 022-717-8032
Email:press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)


東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています
東北大学 研究