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京都大学 研究Discovery Saga
2025年10月21日

ゾウは人間に見られていると気づいているのか?

―アジア最大の陸生動物が人間の視覚的注意を認識する仕組みの研究―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学生物学総合生物医歯薬学
【Sagaキーワード】
視覚的注意/身振り/霊長類/ジェスチャー/コミュニケーション
In other languages English この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

ゾウは大きな耳と長い鼻を持ち、主に音や匂いによってコミュニケーションをとると考えられています。しかし、視覚的な情報をどの程度利用しているのかは不明なままでした。視覚的注意に関する研究は主に霊長類を対象に行われており、アジアゾウに適用された例はほとんどありませんでした。
 ジム・ホイラム 人と社会の未来研究院特定研究員らの研究チームは、アジアゾウが人間の顔の向きや体の向きといった視覚的手がかりを理解できるかどうかを調べました。タイ北部チェンライで飼育されている10頭の雌ゾウに、餌を要求する課題を与え、実験者は次の4つの姿勢のいずれかをとりました。(1)顔と体の両方をゾウに向ける、(2)両方を背ける、(3)顔だけを向ける、(4)体だけを向ける、という条件です。さらに、実験者が不在のときのゾウの反応も含めて、各条件でゾウがどの程度餌を視覚的な仕草にて要求するかを分析しました。
 その結果、ゾウは実験者の顔と体の両方が自分に向けられているときに最も頻繁に餌を要求するジェスチャーを示し、体の向きが顔の向きよりも強い手がかりとなることが明らかになりました。ただし、この効果は顔もゾウの方を向いている場合に限られていました。
 これらの結果は、アジアゾウが効果的なコミュニケーションにおける視覚的注意の重要性を理解しており、顔や体の向き単独ではなく複数の手がかりを組み合わせて人間の注意を読み取っていることを示しています。本研究はゾウの認知に関する理解を深めるとともに、動物における視覚的注意の進化を探る上で新たな知見となります。
 本研究成果は、2025年10月2日に、国際学術誌「Scientific Reports」オンライン掲載されました。 


実験試行に参加するゾウ。人間の身体と顔はゾウの方向を向いている。(撮影:ジム・ホイラム)
研究者のコメント 「最も驚くべき発見は、ゾウは人間がそこにいるからといって身振りをするわけではない、ということでした。人の体が背を向けているとき、ゾウは人がいないときと同じように振る舞っていました。このことは、ゾウが体の向きに敏感であること、そして単に人間の存在だけでジェスチャーをするわけではないことを示しています。」(ジム・ホイラム)

研究者情報

研究者名 JIM Hoi Lam
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41598-025-16994-3
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/297351
【書誌情報】
Hoi-Lam Jim, Shinya Yamamoto, Pakkanut Bansiddhi, Joshua M. Plotnik (2025). Asian elephants (Elephas maximus) recognise human visual attention from body and face orientation.Scientific Reports, 15, 32623.

関連部局

人と社会の未来研究院