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京都大学 研究Discovery Saga
2025年10月21日

光で分解可能な高分子を開発

―配列制御と後修飾反応によるケトン骨格の周期的導入―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
環境に優しい高分子材料開発や持続可能な材料科学に大きく貢献すると期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学化学工学総合生物医歯薬学
【Sagaキーワード】
ガラス転移/共重合体/アミド/ジエン/ブタジエン/共重合/光化学/高分子/高分子化学/材料科学/ガラス転移温度/持続可能/光照射/プラスチック/ポリマー/環境問題/高分子材料/光分解/ガラス状態/ケトン/ラジカル/分子設計


ケトン骨格が周期的に導入された高分子の合成と分解(左図)と光で分解されるイメージ(右図)

概要

高分子化学専攻の黒田啓太 博士後期課程学生、大内誠 教授のグループは、配列制御ラジカル共重合と重合後修飾反応によってケトンのカルボニル基が周期的に導入された高分子の合成手法を開発しました。得られた高分子(ポリマー)は熱的に安定でありながら紫外(UV)光で分解可能でした。
プラスチックやゴムとして用いられる高分子は、安定な材料として使われる一方で、分解されにくく、環境問題の大きな要因となっています。私たちは、「ノリッシュ反応」と呼ばれる光化学反応を引き起こすケトン骨格を高分子に周期的に組み込むことで、光照射によって主鎖を分解できる「光分解性高分子」の開発を目指しました。そこでケト-エノール互変異性によるケトン骨格の導入を考え、トリメチルシロキシ基とメトキシ基を有するブタジエンモノマー(SBD)とペンタフルオロフェニルアクリレート(PFA)の交互共重合と重合後修飾反応によって、アクリルアミド・ケトン・メチルビニルエーテル単位が周期的に並んだ交互三元共重合体を得ることに成功しました。ガラス転移温度(高分子がガラス状態からゴム状態へ変化する温度)が室温以下の場合、得られた高分子はUV光を照射すると固体(バルク)状態で効率的に分解が進行しました。
本研究の成果は、ケトン骨格を高分子分解のモチーフとして利用できることを示した点にあり、今回の分子設計は「使うときは安定で丈夫、廃棄するときは光で分解できる」という新しいタイプの高分子材料の開発につながるものです。将来的には環境に優しい高分子材料開発や持続可能な材料科学に大きく貢献すると期待されます。
本研究成果は、2025年10月15日に、国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に掲載されました。
研究詳細
光で分解可能な高分子を開発 ―配列制御と後修飾反応によるケトン骨格の周期的導入―

研究者情報

大内 誠京都大学教育研究活動データベース

書誌情報

タイトル
Introduction of Periodic Ketone Units on Vinyl Polymers via a Radical Alternating Copolymerization and Post-Polymerization Modification: Sequence-Oriented Photodegradation in the Bulk State
(ラジカル交互共重合と重合後修飾反応によるビニルポリマーへのケトン骨格の周期導入:バルク状態での配列特異的光分解)
著者
黒田啓太、大内誠
掲載誌
Journal of the American Chemical Society
DOI 10.1021/jacs.5c13090
KURENAI

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