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東北大学 研究Discovery Saga
2025年10月16日

てんかん患者の悩みは発作だけじゃない

―手術でてんかん発作が消えても、別の発作が起こる?―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
環境変化/持続可能/持続可能な開発/脳神経外科/画像診断/てんかん/手術/生活の質
2025年10月16日 11:00

研究者情報

〇東北大学病院脳神経外科
講師 大沢伸一郎
研究室ウェブサイト

発表のポイント

外科手術によりてんかん発作が改善した後でも、約20%の患者に術後心因性非てんかん発作(注1が出現しうることを報告しました。
術前の発作予期不安や結婚状態(既婚)が、発症に関連していました。これは手術により発作がなくなった後、社会的活動の正常化が新たな負荷をもたらす(Burden of Normality:正常の負荷)という心理学的状況を反映していると考えられます。
上記の結果として、予定外の医療資源使用が高頻度で認められました。
病態を理解した上で適切な治療や環境調整が行われれば、多くの患者に症状改善が見られるため、発症リスクの予測や周囲のケアが重要です。

発表概要

てんかん外科手術を受けた患者は、発作消失により生活の質が向上する一方で、急に本来の社会的活動を求められることがあります。環境変化による心理的負荷が増加すると予想されるものの、具体的な問題点は明らかにされていませんでした。
東北大学病院脳神経外科 大沢伸一郎講師らのグループは、てんかん外科手術で発作消失した患者の中に、心因性非てんかん発作(PNES)が新たに出現する場合があることを発見しました。これは手術を受けた患者の約20%に上り、従来考えられてきた発症率(3-4%程度)より遙かに高く、結果的に生活や治療上の不利益につながっていました。また、発作予期不安や既婚であることが発症リスクであることも明らかにしました。この病態は画像診断できないため、他にも多くの患者が診断されずにいると考えられます。本研究はてんかんの疾患啓発とともに、他分野に広く応用される重要な心理テーマの提示となることが期待されます。
本研究成果は、2025年10月5日にJournal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatryに掲載されました。



図2. PNESの誘因、症状持続は心理的負荷の増大によるが、術後PNESでは発作消失自体が誘因となっている。
※BoN:Burden of Normality(正常の負荷)

用語解説

注1.心因性非てんかん発作 てんかん発作に似た症状を起こすが、てんかんが原因ではない心理的要因、精神的要因による発作です。以前は偽発作やヒステリーなどと呼ばれていましたが、本人が意識的に起こしていない場合も多く、その場合は「わざと起こしている」ものではありません。

論文情報

タイトル:Post-Surgical Psychogenic Non-Epileptic Seizure: a Treatment-Related Functional Neurological Disorder
著者: Shin-ichiro Osawa*, Maimi Ogawa, Hirotaka Iwaki, Yuko Akitsuki, Mayu Fujikawa, Kazushi Ukishiro, Kazutaka Jin, Atsushi Sakuma, Hiroaki Tomita, Kyoko Suzuki, Nobukazu Nakasato, and Hidenori Endo
*責任著者:東北大学病院 脳神経外科 講師 大沢伸一郎
掲載誌:Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry
DOI:https://doi.org/10.1136/jnnp-2025-336913
URL:https://jnnp.bmj.com/content/early/2025/10/05/jnnp-2025-336913.long

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学病院脳神経外科
講師 大沢伸一郎
TEL: 022-717-7230
Email: osws*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学病院広報室
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
TEL: 022-717-8032
Email: press.med*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)






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