[Top page] [日刊 研究最前線 知尋] [Discovery Saga総合案内] [大学別アーカイブス] [Discovery Saga会員のご案内] [産学連携のご案内] [会社概要] [お問い合わせ]

京都大学 研究Discovery Saga
2025年10月5日

二枚貝類に共生する新種の甲殻類を発見

―二枚貝共生性のマルハサミヨコエビ属は日本初―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域工学農学
【Sagaキーワード】
博物館学/沿岸域/甲殻類/生物多様性/二枚貝
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

花岡朋哉 理学研究科修士課程学生(研究当時:鹿児島大学学部生)、後藤龍太郎 フィールド科学教育研究センター助教、中島広喜 横須賀市自然・人文博物館学芸員(研究当時:琉球大学博士課程学生)、小玉将史 鹿児島大学助教らの研究グループは、三重県菅島の海底において、二枚貝類に共生するマルハサミヨコエビ属ヨコエビ類の不明種を発見しました。形態およびDNA配列を比較した結果、本種は未記載種だと判明し、宿主の二枚貝類であるLimaria hirasei(和名:ウスユキミノ)にちなみ、Leucothoe limidicola(和名:ユキミノノマルハサミヨコエビ)として新種記載しました。マルハサミヨコエビ属は、世界で159種が知られており、そのうち多くの種がホヤ類やカイメン類に共生します。一方で、二枚貝類に共生する種は稀であり、本報告は世界で6種目、日本国内で初めての二枚貝共生性の種の報告となりました。本種の発見はこれまで見過ごされてきた、マルハサミヨコエビ属における宿主の多様性を把握するうえで重要な知見となり、非常に示唆深いものです。
 本研究成果は、2025年9月26日に、国際学術誌「Zootaxa」にオンライン掲載されました。


新種記載を行ったユキミノノマルハサミヨコエビLeucothoe limidicola(撮影者:中島広喜)
研究者のコメント 「マルハサミヨコエビの仲間は、二枚貝類だけではなく、ホヤ類、カイメン類、多毛類など多くの生き物の体内や巣穴を住みかとして利用しています。一方で、その多様性に関してはまだまだ明らかにされておらず、日本国内だけでもここ十数年で多くの新種が見つかっています。身近な場所でも新種が見つかる可能性がありますので、是非探してみてください。」(花岡朋哉)
「2023年には、死サンゴ礫内のボネリムシの巣穴にすむマルハサミヨコエビを報告しましたが、今回は二枚貝とともに暮らす新種が見つかりました。私はDNA解析を中心に研究に参加しました。様々な生物と共生関係を築いていくこの共生ヨコエビたちの姿からは、進化の柔軟さや生物多様性が生まれる仕組みのヒントを感じます。」(後藤龍太郎)
「新種ヨコエビのホストであるミノガイの仲間ですが、調査で甲殻類を探していると海底の岩をどけたときに触手を活発に動かして蠢いている様子をまれに見ます。今回はそれを見て『何か寄生していないかな~』と考え貝を持ち帰ったのですが、その後にヨコエビ共生に気が付きました。普段の海底ではどのような共生生活が展開されているのでしょうか。気になっています。」(中島広喜)
「今回、非常に興味深い種を記載することができました。本研究は、身近な沿岸域にも未発見の多様性がまだ多く残されていることを示しています。地域の生物相や生物多様性を正しく把握していくことは、今後の様々な研究の重要な基盤になります。今後も研究を進め、未知の多様性を明らかにしていきたいと思います。」(小玉将史)

詳しい研究内容について

二枚貝類に共生する新種の甲殻類を発見―二枚貝共生性のマルハサミヨコエビ属は日本初―

研究者情報

研究者名 後藤 龍太郎
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.11646/zootaxa.5696.4.6

【書誌情報】
TOMOYA HANAOKA, RYUTARO GOTO, HIROKI NAKAJIMA, MASAFUMI KODAMA (2025). A new species of the genusLeucothoeLeach, 1814 (Crustacea: Amphipoda: Leucothoidae) associated with a limid bivalve from Sugashima Island, Japan.Zootaxa, 5696, 4, 567-589.

関連部局

理学部・理学研究科 フィールド科学教育研究センター