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京都大学 研究Discovery Saga
2025年9月27日

植物の低温耐性を支える新たなメカニズムを発見

―葉緑体の活性酸素ダメージの軽減機構―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学化学生物学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
気候変動/光化学/キュウリ/タンパク質複合体/光化学系I/光合成/葉緑体/環境ストレス/ストレス耐性/活性酸素/ストレス/生理学
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

気候変動が進む中、作物の温度耐性を支えるメカニズムの解明が求められています。低温ストレスは、キュウリなどの夏作物の光合成を阻害して生育を低下させますが、その詳細なメカニズムは不明でした。
 伊福健太郎 農学研究科教授、竹内航 同博士課程学生、播本慎太郎 同修士課程学生、三宅親弘 神戸大学教授らの研究グループは、葉緑体にある「NDH複合体」の分解がキュウリの低温ストレス障害のトリガーであることを明らかにしました。低温に弱いキュウリ品種では、低温ストレス時にNDHが分解され、光合成の阻害と葉の白化が起こりました。一方、低温に強いキュウリ品種ではNDHは低温でも安定で、葉緑体は活性酸素から安全に守られました。これまで環境ストレス時のNDHの機能は明らかになっていませんでしたが、低温ストレス時に活性酸素を抑制し、葉緑体を健康に保つという重要な生理学的役割がはじめて明らかとなりました。
 本研究成果は、2025年9月18日に、国際学術誌「New Phytologist」に掲載されました。


研究成果の概要図:低温に弱いキュウリ品種は、低温ストレス時に葉緑体NDHタンパク質複合体が分解・不安定化して活性酸素が発生する(上)。低温に強いキュウリ品種では、NDHは正常に機能する(下)。
研究者のコメント 「低温ストレスによる葉緑体光化学系Iの障害は、約30年前に発見されて以降、日本が世界をリードしてきた研究分野の1つです。今回の研究では、これまでに蓄積された低温障害のメカニズムを裏付ける多くのエビデンスに加えて、NDHが低温障害を抑制するという重要かつ新規の役割を提案できたことを大変嬉しく思います。植物は多彩で高度な環境ストレス耐性メカニズムを備えており、今後もその神秘的な防御システムを解明することで、持続的な食料生産への貢献を目指したいと考えています。」(竹内航)

詳しい研究内容について

植物の低温耐性を支える新たなメカニズムを発見―葉緑体の活性酸素ダメージの軽減機構―

研究者情報

研究者名 伊福 健太郎
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 竹内 航 Researchmap

関連部局

農学部・農学研究科