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京都大学 研究Discovery Saga
2025年9月27日

ニホンザルの季節適応力を解明

―腸内細菌が果たす食物の季節変化への適応能力―

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
低栄養の季節を生き抜くうえで腸内細菌が重要な役割を果たしている
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
季節変化/行動観察/発酵/生態学/微生物/短鎖脂肪酸/脂肪酸/細菌/細菌叢/腸内細菌/腸内細菌叢/低栄養
In other languages English この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

半谷吾郎 生態学研究センター准教授、Lee Wanyi 同特定助教らは、屋久島に生息する野生ニホンザルを対象に、食性の季節変化に対応する腸内細菌叢の適応メカニズムを解明しました。
 野生動物にとって、季節による食物の変化は大きな課題です。ニホンザルは果実や種子を優先的に摂取しますが、これらが不足する季節には、代替的に葉や樹皮といった低栄養の資源を利用します。しかし、葉や樹皮は繊維質が多く、サル自身の酵素だけでは十分に消化できません。そのため腸内細菌が発酵によって繊維を分解し、短鎖脂肪酸と呼ばれるエネルギー源を生み出すことが、生存の鍵となります。これまで腸内細菌の組成が季節で変化することは知られていましたが、実際にどのように消化機能へとつながっているかは十分に解明されていませんでした。腸内細菌は季節の変化に応じて機能を調整し、特に冬に多く利用される葉の発酵能力が向上することが明らかになりました。これは、低栄養の季節を生き抜くうえで腸内細菌が重要な役割を果たしていることを示しています。
 本研究成果は、2025年9月1日に、国際学術誌「Ecology and Evolution」にオンライン掲載されました。


腸内細菌が支えるニホンザルの食性適応:屋久島での行動観察と糞試料の解析、さらに試験管内発酵実験により、腸内細菌叢が果実・種子には多様な菌で常に多くの短鎖脂肪酸を産生し、冬の低栄養期には葉の発酵能力を高めてエネルギーを補っていることが明らかになった。
研究者のコメント
「屋久島で一年を通してサルを追い続けるのは大きな挑戦であり、実験では夜中に起きて発酵を測定する必要があり、体力的にも精神的にも厳しい日々でした。それでも、試験管内発酵実験を通じて、目に見えない微生物の働きを『かたち』として捉えられた瞬間は、苦労を忘れるほどの感動でした。野生動物と腸内細菌の協力関係を解き明かすことで、将来の保全にもつなげたいと思います。」

詳しい研究内容について

ニホンザルの季節適応力を解明―腸内細菌が果たす食物の季節変化への適応能力―

研究者情報

研究者名 半谷 吾郎
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 李 婉儀 Researchmap

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1002/ece3.72076
  【書誌情報】
Wanyi Lee, Tianmeng He, Yosuke Kurihara, Izumi Shiroishi, Kazunari Ushida, Sayaka Tsuchida, Goro Hanya (2025). Seasonal Adaptation of the Gut Microbiome in Japanese Macaques: Linking Gut Microbiome Shifts With Fermentative Function.Ecology and Evolution, 15, 9, e72076.

関連部局

生態学研究センター