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科学技術振興機構 研究Discovery Saga
2025年9月25日

量子計算による低エネルギー状態シミュレーションの大幅な効率化を達成

~低温物質など物理・化学の中心問題への量子コンピューターの応用に道筋~

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学化学工学農学
【Sagaキーワード】
量子アルゴリズム/アルゴリズム/量子計算/非平衡/物質科学/物性物理/量子コンピュータ/量子化/量子多体系/量子化学/シミュレーション/ダイナミクス/量子力学/エネルギー変換/水田

2025(令和7)年9月25日
東京大学
理化学研究所
科学技術振興機構(JST)

発表のポイント

低温状態など低エネルギー状態の量子多体ダイナミクスに対する量子計算の大幅な効率化を実現。
現在〜将来の量子コンピューターで最も標準的な量子アルゴリズム「トロッター分解」で理論上可能な最大限の高速化を達成。
物性物理・量子化学で重要な基底状態、低温状態などのシミュレーションの高速化に貢献。

東京大学 大学院工学系研究科の水田 郁 助教と、理化学研究所 開拓研究所/量子コンピュータ研究センターの桑原 知剛 理研白眉研究チームリーダーによる研究グループは、量子コンピューターを用いて、量子力学に従う多数の粒子(量子多体系)の振る舞いを計算する代表的な手法「トロッター分解」において、低温下での物質など低エネルギー状態のシミュレーションが大幅に効率化できることを明らかにしました。こうしたシミュレーションは、量子コンピューターの能力を最大限に生かせる最も有望な応用と考えられています。本研究ではトロッター分解と呼ばれる最も広く使われる手法に対して、誤差を理論的に最小にする新しい基準を導きました。そしてその基準に基づいて低エネルギー状態から計算を始めると、シミュレーションにかかる時間を大幅に短縮できることを示しました。低エネルギー状態は低温状態など物質科学や化学において最も重要な研究対象の1つです。そのため本成果は将来的な量子コンピューターで物質や分子の性質を高精度かつ高速に再現することにつながると期待されます。
本研究は、2025年9月23日(米国東部夏時間)に米国科学雑誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載されました。
本研究は、JST さきがけ「非平衡量子系の物理に基づく汎用大規模量子アルゴリズム(課題番号:JPMJPR235A)」、JSPS 科研費「時間依存する非平衡量子系の最適な量子アルゴリズムの構築(課題番号:JP24K16974)」、JST ムーンショット型研究開発事業「誤り耐性型量子コンピュータにおける理論・ソフトウェアの研究開発(課題番号:JPMJMS2061)」、理研白眉研究プロジェクト、JST さきがけ「量子多体理論を用いた量子計算機の高速アルゴリズムの開発(課題番号:JPMJPR2116)」、JST ERATO「沙川情報エネルギー変換プロジェクト(課題番号:JPMJER2302)」、JSPS 科研費「中規模量子コンピュータによるセキュアな分散型量子計算の基盤創出(課題番号:JP24H00071)」の支援により実施されました。

<プレスリリース資料>


本文 PDF(451KB)

<論文タイトル>

“Trotterization is Substantially Efficient for Low-Energy States”
DOI:10.1103/q87n-5xhz

問い合わせ先

<JST事業に関すること>


安藤 裕輔(アンドウ ユウスケ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ
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