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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年9月25日

細菌の増殖プロファイリングにより進化的系統や地理的分布を明らかに

【注目の成果:共同研究・産学連携のためのチェックポイント】
微生物の適応度の予測や新規分類法の開発への応用も期待
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学生物学工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
プロファイル/遺伝情報/系統分類/持続可能/持続可能な開発/マッピング/生態系/微生物/プロファイリング/ニッチ/ゲノム/細菌
生物・環境


(Image by ALIOUI Mohammed Elamine7/Shutterstock)

概要

6種の細菌を195種類の培地で増殖させた様子を網羅的に計測し、得られた増殖パターンが、これらの細菌の進化的系統や地理生態的特徴に一致することを発見しました。本研究成果は、制御された実験室内においても自然生態系の再現や進化や生態に関する法則を発見できる可能性を示唆しています。
 本研究では、厳密的に制御された実験室内環境下での細菌の網羅的増殖解析を通じて、自然界における生態的ニッチ(生態系内での地位)や進化的関係性を明らかにする新たなアプローチを提案しました。
 6種類の細菌を195種類の栄養環境(培地)下で培養し、それぞれの増殖プロファイリングを⾏い、増殖の速さおよび集団サイズ(最⼤菌体量)の2つの定量的指標を4,680通り取得しました。この⼤規模な実験的マッピングから、幅広い栄養環境下における細菌の適応度の全体像を明らかにしました。その結果、細菌ごとに異なる増殖パターンがある⼀⽅で、同じ系統に属する細菌は類似した増殖傾向を⽰し、⽣息環境や分布域といった⽣態的特徴との対応などの共通性も⾒られました。また、各細菌の増殖パターンに基づいて系統分類を⾏ったところ、ゲノム遺伝情報に基づく系統分類や地理的分布に基づく⽣態分類と⼀致することを発⾒しました。これは、細菌増殖のプロファイル(パターン)は進化的、⽣態的に保存された特性であることを⽰唆しています。さらに、培地の栄養成分が細菌増殖に及ぼす影響には、「普遍的」と「特異的」と2つの特徴があることが判明しました。
 本研究成果は、制御された実験室内においても自然生態系の再現や進化や生態に関する法則を発見できる可能性、すなわち、細菌増殖を指標とした実験室内生態系という研究アプローチと、微生物の生態進化適応における新規発見や機構解明に新たな方法論を提案するものです。本手法は、微生物の適応度の予測や新規分類法の開発への応用も期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学 生命環境系
應 蓓文 准教授

掲載論文

【題名】
Experimental Mapping of Bacterial Fitness Landscapes Reveals Eco-evolutionary Fingerprints
(細菌の適応度地形の実験的マッピングが生態進化的痕跡を明らかに)
【掲載誌】
Scientific Reports
【DOI】
10.1038/s41598-025-17103-0

関連リンク

生命環境系