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京都大学 研究Discovery Saga
2025年9月23日

息から病気を検知する

―鉄の匂いが教える肝臓の異変―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学総合生物農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
分析技術/診断法/カルス/肝疾患/マウス/細胞死/代謝物/脂質
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

私たちの体の中では、鉄の働きによって細胞が壊れる「脂質の酸化」が起こることがあります。これが進むとフェロトーシスと呼ばれる細胞死が起き、肝臓などさまざまな病気の原因になることが知られています。ところが、これまでフェロトーシスを体の中で直接調べるには、肝臓の一部を取り出すような体に負担の大きい検査が必要でした。
 松岡悠太 医学研究科特定助教、杉浦悠毅 同特定准教授らの研究グループは、勝俣良紀 慶應義塾大学専任講師、中本伸宏 同准教授、井口公太 田附興風会医学研究所北野病院副部長らとの共同研究により、フェロトーシスが進むと「鉄の匂い分子」として知られる特殊な物質がガスとして細胞から放出されることを発見しました。この分子は、肝臓病のマウスだけでなく、脂肪性肝疾患の患者さんの呼気(吐いた息)からも検出されました。つまり、息を調べるだけで病気の進行を知ることができる可能性が示されたのです。この研究は、体に負担をかけずにリアルタイムで病気を調べられる新しい診断法につながると期待されます。
 本研究成果は、2025年9月2日に、国際学術誌「Redox Biology」にオンライン掲載されました。


本研究成果の概略図
研究者のコメント 「生体由来の揮発性分子は極めて微量であり、かつガス状であるため取り扱いが困難で、解析手法の確立には多大な労力を要しました。足掛け三年にわたる試行錯誤を経て、本研究を納得のいく形で論文として纏められたことを心より喜ばしく思います。
揮発性代謝物は、生命科学分野ではあまり研究が進んでいない、いわば未開拓のケミカルスペースです。本研究にて開発した分析技術をさらに発展させ、この生命科学研究に残された新たなフロンティアを着実に開拓していきたいと思います。」(松岡悠太)

詳しい研究内容について

息から病気を検知する―鉄の匂いが教える肝臓の異変―

研究者情報

研究者名 松岡 悠太 Researchmap 研究者名 杉浦 悠毅
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.redox.2025.103858

【書誌情報】
Yuta Matsuoka, Yoshinori Katsumata, Po-sung Chu, Rei Morikawa, Nobuhiro Nakamoto, Kohta Iguchi, Ken Takahashi, Tadayuki Kou, Ryo Ito, Kojiro Taura, Shujiro Yazumi, Hiroaki Terajima, Gen Honjo, Genki Ichihara, Yuki Muramoto, Kazuki Sato, Rae Maeda, Kazuhiro Hata, Naoya Toriu, Motoko Yanagita, Masaki Tajima, Sidonia Fagarasan, Ken-ichi Yamada, Yuki Sugiura (2025). Monitoring ferroptosisin vivo: Iron-driven volatile oxidized lipids as breath biomarkers.Redox Biology, 86, 103858.

関連部局

医学部・医学研究科