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物質・材料研究機構 研究Discovery Saga
2025年9月21日

1Wh級の積層型リチウム空気電池を開発

〜 「高出力」「長寿命」「大型化」を同時に実現するカーボン電極を開発 〜

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
リチウムイオン電池/電解液/メソスケール/細孔構造/電池/カーボン/リチウム/ロボット/環境材料/航空機/自動車/多孔質/耐久性/長寿命化/電気化学/電気自動車/二次電池/カーボン材料/結晶性/寿命

2025.09.19
NIMS(国立研究開発法人物質・材料研究機構)
東洋炭素株式会社
NIMSは、東洋炭素との共同研究により、高出力・長寿命・大型化対応を同時に実現するカーボン電極を開発することで、1Wh級の積層型リチウム空気電池の安定作動に成功しました。本研究においては、東洋炭素が多孔質カーボン材料「クノーベル®」で培った製造技術を駆使し開発した材料に対して、NIMSが開発してきた自立膜化技術を適用することで、電池セルサイズの大型化が可能となりました。これにより産業レベルでの応用が現実的になったことは、リチウム空気電池の実用化を大きく進展させる成果といえます。この研究成果は、9月18日にCell Reports Physical Science誌のオンライン版に掲載されました。

概要

従来の課題

リチウム空気電池は、理論上の重量エネルギー密度が現在主流のリチウムイオン電池の数倍に達する、「究極の二次電池」として注目されています。NIMSの研究グループは、2021年に500Wh/kg級という、現行のリチウムイオン電池のエネルギー密度の2倍以上の重量エネルギー密度を持つリチウム空気電池を開発しました。しかし、実用化に向けては、高出力性能の確保やサイクル寿命の向上など、複数の技術的課題を克服する必要があります。加えて、これまでに報告されているリチウム空気電池の電力量の多くは0.01Wh以下にとどまっており、実用的な電池としての研究開発を進めるためには、電池セルの大型化に関する検討が不可欠となっています。

成果のポイント

NIMSと東洋炭素による共同研究グループは、リチウム空気電池の実用化に向けて、「高出力」「長寿命」「大型化」を同時に実現するカーボン電極の開発に成功しました。本研究では、メソスケール構造が制御された多孔質カーボン材料「クノーベル®」に対し、NIMSがこれまでに確立してきた自立膜化技術を適用。これにより、細孔構造が階層的に制御されたカーボン電極の作製が可能となり、リチウム空気電池の高出力運転を実現しました。さらに、カーボン電極の結晶性を高めることで耐久性が向上し、電池の長寿命化にも成功しました。また、10cm角以上の大面積電極の作製にも対応可能な製造プロセスを確立し、大型セルへの応用も視野に入れた技術基盤を確立しました。これらの成果を統合し、4cm角サイズの電極を用いた1Wh級の積層型リチウム空気電池を試作し、安定した動作を確認しました。



図: (A) メソスケール細孔が制御されたカーボン材料合成スキームの概念図。(B) 本研究で作製した1Wh級の積層型リチウム空気電池の外観。

将来展望

本研究で開発された高性能カーボン電極は、リチウム空気電池の実用化に向けた鍵となる「高出力・長寿命・大型化」という三つの課題を同時に克服する成果です。リチウム空気電池は、軽量かつ大容量であることから、電動航空機や電気自動車など、社会の電動化を進めていくうえで、不可欠な分野での活用が期待されています。しかし、これまでその実用化は技術的課題により限定されていました。本研究により、電池セルの大面積化が可能となり、産業レベルでの応用が現実的になったことは、リチウム空気電池の実用化を大きく進展させる成果といえます。

その他


本研究は、NIMS エネルギー環境材料研究センター 電気化学スマートラボチームの松田 翔一 チームリーダー、DUTTA Arghya NIMS特別研究員、亀田 隆 NIMSエンジニア、東洋炭素 近藤照久記念東洋炭素総合開発センター 森下 隆広 エグゼクティブフェローらを中心とした共同研究チームによって行われました。
本研究成果は、2025年9月18日にCell Reports Physical Scienceのオンライン版に掲載されました。

掲載論文

題目 : Hierarchically Porous Graphitized Carbon Membrane for 1 Watt-Hour Class Rechargeable Lithium-Oxygen Pouch Cells
著者 :Arghya Dutta,Takashi Kameda, Emiko Mizuki, Taiga Ozawa, Shoji Yamaguchi, Junji Takada, Yuuka Nakajima, Takahiro Morishita, andShoichi Matsuda
雑誌 : Cell Reports Physical Science
DOI :10.1016/j.xcrp.2025.102841
掲載日時 : 2025年9月18日

関連ファイル・リンク


プレスリリース詳細 PDF - [678KB]
エネルギー環境材料研究センター

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問い合わせ先

研究内容について

NIMS エネルギー環境材料研究センター
電気化学スマートラボチーム
チームリーダー
松田 翔一 (まつだ しょういち) E-Mail: MATSUDA.Shoichi=nims.go.jp([ = ] を [ @ ] にしてください)
TEL: 029-860-4637 東洋炭素 近藤照久記念東洋炭素総合開発センター
エグゼクティブフェロー
森下 隆広 E-Mail: tmorishita=toyotanso.co.jp([ = ] を [ @ ] にしてください)

報道・広報について

NIMS 国際・広報部門 広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現 1-2-1 E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp([ = ] を [ @ ] にしてください)
TEL: 029-859-2026
FAX: 029-859-2017 東洋炭素 経営企画部 IR広報グループ URL:https://www.toyotanso.co.jp/Contact/ (各種お問い合せ | 東洋炭素)

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