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九州大学 研究Discovery Saga
2025年9月21日

燃料電池や触媒などへの応用が期待されるプロトン機能性材料を発見

工学研究院  林 克郎 教授 / 稲田 幹 准教授

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学化学生物学工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
強い相互作用/水分子/中性子散乱/X線回折/ストロンチウム/軽元素/中性子/中性子回折/反射スペクトル/スペクトル/赤外線/分子イオン/赤外分光/アニオン/結晶構造解析/結合状態/複合アニオン/固体酸/固体酸触媒/酸触媒/持続可能/無機材料/持続可能な開発/原子配列/電池/熱安定性/燃料電池/機能性材料/原子力/酸化物/電子顕微鏡/機能性/干渉効果/結晶構造/プロトン/官能基/立体構造
2025.09.19 研究成果Materials

発表のポイント

卓越した熱安定性を有するストロンチウム・ガリウム酸水酸化物を発見
電子顕微鏡、中性子回折、赤外分光などを用いた先端分析により、本化合物の結晶構造と化学結合状態を解明
独自開発した「気相水酸化物化反応」により、プロトン機能性材料の開発研究の加速に期待

発表概要

神奈川大学化学生命学部 本橋輝樹教授らの研究グループは、京都大学複合原子力科学研究所 南部雄亮特定教授、近畿大学理工学部 杉本邦久教授、Zi Lang Goo研究員(当時)、九州大学大学院工学研究院  林克郎教授、稲田 幹准教授、物質・材料研究機構(NIMS)マテリアル基盤研究センター 木本浩司センター長、豪州原子力科学技術機構(ANSTO) Maxim Avdeev博士との共同研究により、卓越した熱安定性を有するストロンチウム・ガリウム酸水酸化物(注1)を発見しました。本化合物は、独自開発した「気相水酸化物化反応」を用いて合成され、電子顕微鏡、X線回折、中性子回折(注2)、赤外分光(注3)を用いた先端分析により、詳細な結晶構造および高熱安定性に寄与する水素結合(注4)の存在が明らかになりました。本成果により、(酸)水酸化物の開発研究が加速され、燃料電池や固体酸触媒などへ応用可能な革新的プロトン機能性材料の創製に繋がる可能性があります。本研究成果は、2025年8月31日付で米国のアメリカ化学会の専門誌「Inorganic Chemistry」に掲載されました。



図1. 熱安定性に優れたストロンチウム・ガリウム酸水酸化物と新しいプロトン機能性材料の応用展開

用語解説

(注1)酸水酸化物
同一結晶構造中に酸化物イオン(O2-)と水酸化物イオン(OH-)の両方を内包する複合アニオン化合物の一種。水酸化物イオンは水分子から派生した陰イオンであり、分子イオンを内包した無機材料は「超セラミックス」と呼ばれる。
(注2)中性子回折
結晶構造の分析法。試料からの中性子散乱における干渉効果(回折)を利用して物質中の原子配列を決定する。水素など軽元素の感度が高いため、軽元素を多く含む物質の結晶構造解析に有効である
(注3)赤外分光
赤外線を用いた分析法。赤外線を物質に照射し、吸収または反射スペクトルを解析することにより、分子イオンなどの化学結合状態を特定することが可能。
(注4)水素結合
酸素など電気陰性度の大きな原子と水素からなる分子や官能基の間に働く化学結合のこと。分子間引力の中では強い相互作用であり、水の特異的に高い沸点や、タンパク質やDNAが立体構造をつくる起源となっている。

論文情報

題名:A Sr-Ga Oxy-Hydroxide with High Thermal Stability: Unraveling Its Characteristic Hydrogen-Bond Network
著者名:Yusuke Asai, Yuto Nishihara, Yoko Kokubo, Kenji Arai, Kosaku Ohishi, Satoshi Ogawa, Miwa Saito, Yusuke Nambu, Maxim Avdeev, Koji Kimoto, Zi Lang Goo, Kunihisa Sugimoto, Miki Inada, Katsuro Hayashi, *Teruki Motohashi
掲載誌:Inorganic Chemistry 2025,64, 18294-18303.
DOI:10.1021/acs.inorgchem.5c02586
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