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京都大学 研究Discovery Saga
2025年9月21日

近年の未熟児網膜症治療の低侵襲化を明らかに

―全国規模の医療データベースを用いた研究―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
時系列解析/レーザー/近視/合併症/視機能/血管新生/網膜/新生児/早産児/低侵襲
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

未熟児網膜症(retinopathy of prematurity, ROP)は早産児に発症する失明リスクの高い疾患で、従来は網膜光凝固術(レーザー治療)が標準治療とされてきました。しかし、レーザー治療は網膜に侵襲を与える可能性があり、視野異常や近視進行などの合併症も報告されています。より低侵襲な治療法として血管新生抑制薬(抗VEGF薬)が注目され、2019年11月には本邦で初めてROPに対する抗VEGF薬が薬事承認されましたが、治療選択にどのような影響を与えたかは不明でした。
 赤田真啓 医学研究科博士課程学生、畑匡侑 同特定講師、辻川明孝 同教授らの研究グループは、厚生労働省の管理するナショナルデータベース(NDB)を用いて、未熟児網膜症の治療における変化を調査しました。2013年~2023年の全国の診療データを用いた時系列解析により、抗VEGF薬の承認以降、その使用が増加するのに伴い、レーザー治療割合が徐々に低下していることが確認されました。これにより、抗VEGF治療が日本国内においてもROP治療の選択肢として受け入れられ、侵襲のあるレーザー治療が減少しつつある実態が明らかになりました。本研究は、新生児眼科医療の変遷をとらえた重要な知見を提供したといえます。
 本研究成果は、2025年9月18日に、国際学術誌「JAMA Ophthalmology」にオンライン掲載されました。


抗VEGF薬注射およびレーザー治療を受けた児の割合の推移(2013年~2023年)。灰色の領域は抗VEGF薬が正式承認された期間を示している。
研究者のコメント 「これまで未熟児網膜症治療選択の実臨床での動向は十分に把握されていませんでしたが、本研究では、抗VEGF薬の薬事承認が医療現場の治療選択に着実な変化をもたらしていることを明らかにしました。現場の治療選択が変わりつつある様子を可視化できたことは、未熟児眼科医療にとって大きな意義があると考えています。今後は、こうした治療選択の変化が長期的な視機能や予後にどのように影響するのかについての検討が求められます。」(赤田真啓)

詳しい研究内容について

近年の未熟児網膜症治療の低侵襲化を明らかに―全国規模の医療データベースを用いた研究―

研究者情報

研究者名 Masahiro Akada ORCID 研究者名 畑 匡侑
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 辻川 明孝
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1001/jamaophthalmol.2025.2948

【書誌情報】
Masahiro Akada, Masayuki Hata, Masahiro Miyake, Hiroshi Tamura, Yoko Fukushima, Akitaka Tsujikawa (2025). Anti-VEGF Approval and Retinal Photocoagulation for Retinopathy of Prematurity.JAMA Ophthalmology.

関連部局

医学部・医学研究科