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名古屋大学 研究Discovery Saga
2025年9月18日

受精卵(胚)の着床を誘導する効果的な化合物を発見

~ヒトの不妊症や産業動物の低受胎への治療に貢献~

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
リン酸/ウシ/STAT/インターフェロン/マウスモデル/子宮/受精/受精卵/着床/不妊症/ホルモン/Stat3/マウス/生理活性/生理活性物質/転写調節/転写調節因子/サイトカイン/妊娠/分娩



医歯薬学
2025.09.18

研究概要

・新しい化合物RO8191が、転写調節因子STAT3のリン酸化を介して、マウスの胚着床を誘導できることを発見した。
・着床不全により不妊を示す複数のマウスモデルで、RO8191が着床を促し、一部では分娩直前まで妊娠を継続した。
・ヒトの不妊症の新たな治療法や、産業動物の繁殖効率を高める技術の開発に貢献。
 
名古屋大学大学院生命農学研究科の徐 均蘭(じょ・きんらん)博士後期課程学生、飯田 敦夫 助教、本道 栄一 教授、および医学系研究科の村岡 彩子 講師、阮 加里(げん・かり) 博士課程学生、麻布大学の 滝川 颯太 学部学生、寺川 純平 講師、伊藤 潤哉 教授、愛知医科大学の大須賀 智子 教授の共同研究グループは、インターフェロン様活性を持つ化合物(薬剤)「RO8191」が、マウスにおいて受精卵 (胚)の着床を誘導できることを発見しました。
近年、ヒトにおける不妊症や、ウシなど産業動物の受胎率低下が大きな課題となっています。しかし、効果的な治療法は未だ確立されていません。胚の着床は、ホルモンの影響を受けて子宮から分泌されるサイトカイン注1)によって始まりますが、これまで化合物(薬剤)で着床を誘導できる例は知られていませんでした。今回、本研究グループはRO8191が転写調節因子「STAT3」を活性化することを通じて、マウスで胚着床を誘導できることを初めて示しました。さらに、着床不全によって妊娠できない複数のマウスモデルにおいて、RO8191は着床反応を促し、着床不全を改善して妊娠を維持、分娩直前まで至ることを確認しました。
本成果は、ヒトの不妊症の新たな治療法や、産業動物の繁殖効率を高める技術の開発に貢献します。
本研究成果は、2025年9月9日付 Springer Nature社が出版する 『Scientific Reports』誌に掲載されました。
 
◆詳細(プレスリリース本文)はこちら
 

用語説明

注1)サイトカイン:
細胞から分泌されるタンパク質で、細胞間の情報伝達を担う生理活性物質の総称。
 

論文情報

雑誌名:Scientific Reports
論文タイトル:RO8191, a new compound for initiating embryo implantation in mice
著者:Junlan Shu†, Jumpei Terakawa†, Sota Takikawa, Satoko Osuka, Ayako Muraoka, Jiali Ruan, Atsuo Iida, Junya Ito*, Eiichi Hondo*
†共同筆頭著者 *責任著者
DOI: 10.1038/s41598-025-18471-3
URL:https://www.nature.com/articles/s41598-025-18471-3
 

研究代表者

大学院生命農学研究科 本道 栄一 教授
https://sites.google.com/view/animal-morphology