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京都大学 研究Discovery Saga
2025年9月14日

キタオットセイの北上回遊行動を衛星追跡で解明

―海洋環境要因と北上回遊行動の関係―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学数物系科学工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
人間活動/海洋/環境変動/気候変動/衛星/エネルギー消費/電池/モニタリング/沿岸域/海洋環境/哺乳類/生態系/海洋生態/海洋生態系/漁業/環境要因/寿命
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

李何萍 野生動物研究センター博士課程学生、三谷曜子 同教授、土橋稜 米国ハワイ大学マノア校(University of Hawaiʻi at Mānoa)博士課程学生、三寺史夫 北海道大学名誉教授(研究当時:同教授)からなる研究グループは、衛星発信器を用いてキタオットセイの北上回遊と海洋環境との関係を明らかにしました。キタオットセイは、繁殖地と越冬地のあいだを季節的に長距離回遊する鰭脚類であり、日本近海は非繁殖期に豊富な餌資源を提供する主要な越冬海域のひとつです。これまで、繁殖地からの南下回遊についてはよく知られていましたが、春に越冬海域から繁殖地へと戻る北上回遊については、タグの脱落や電池寿命、海上での捕獲といった技術的な制約により、詳細な情報が不足していました。本研究では、衛星発信器を用いて若齢のオス個体(亜成獣および未成熟個体)の北上移動を追跡し、移動経路や行動の特徴を記録しました。その結果、餌となる生物が集まりやすい大陸棚縁辺部や、水温8~13℃の海域で採餌行動が集中していることが明らかになりました。さらに、キタオットセイは高気圧性渦の縁辺部を利用して移動する傾向も確認され、長距離移動におけるエネルギー消費を抑えるために、渦の縁辺部を利用している可能性が示唆されました。
 本研究の成果は、キタオットセイの北上回遊行動と海洋環境への応答を明らかにし、北海道日本海沿岸域におけるその生態的役割を解明するうえでも重要な知見となります。
 本研究成果は、2025年7月30日に、国際学術誌「Deep-Sea Research Part I」にオンライン掲載されました。


衛星発信器を装着したキタオットセイ
研究者のコメント 「本研究では、北海道日本海沿岸に来遊するキタオットセイの北上回遊中に見られる、海洋環境に対する行動的な応答について基礎的な知見を得ることができました。海洋生態系の高次捕食者であるキタオットセイは、気候変動や人間活動に伴う環境の変化に応じて、分布や生息域を変える可能性があります。こうした変化は漁業資源への影響だけでなく、他の海生哺乳類との種間競争になる可能性もあります。環境変動がキタオットセイの生息地に与える影響を調べるため、長期的なモニタリングが必要だと考えています。」

詳しい研究内容について

キタオットセイの北上回遊行動を衛星追跡で解明―海洋環境要因と北上回遊行動の関係―

研究者情報

研究者名 Heping Li ORCID 研究者名 三谷 曜子
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.dsr.2025.104558
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/296801
Heping Li, Ryo Dobashi, Humio Mitsudera, Yoko Mitani (2025). Northbound movement of northern fur seal (Callorhinus ursinus) and their response to the oceanographic features.Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers, 224, 104558.

関連部局

野生動物研究センター