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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年9月14日

ストレスにさらされた昆虫個体の死に必要な遺伝子を発見

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学工学総合生物医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
個体間相互作用/持続可能/紫外線/持続可能な開発/ダイナミクス/モデル生物/ショウジョウバエ/ストレス応答/タンパク質発現/細胞死/神経細胞/阻害剤/転写因子/ストレス/遺伝子/遺伝子発現
生物・環境


(Image by Oren Ravid/Shutterstock)

概要

ストレスにさらされた昆虫の個体死を誘導するために必要な遺伝子およびシグナル経路を発見しました。許容範囲を超えるストレスにさらされるとこのシグナル経路が活性化し、神経細胞の死が促進されて最終的に昆虫を死に至らしめることが分かりました。
 生物は、温度や紫外線、個体間相互作用などさまざまなストレスを受けながら生き延びています。許容範囲内のストレスであれば耐性を発揮することで生存できます。その一方で、許容レベルを超える過剰なストレス(致死ストレス)を受けた場合、個体は死に至りますが、そのようなストレス依存的な個体死の制御メカニズムは未解明のままでした。
 本研究グループは、モデル生物であるキイロショウジョウバエの幼虫を実験材料に用いて解析を行い、致死ストレス応答性遺伝子としてPhaedra1Phae1)を同定しました。Phae1は、神経細胞において細胞死に必要なタンパク質を活性化させ、その結果として個体死を誘導することを見いだしました。また、Phae1の遺伝子発現は、転写因子Zesteにより制御されていることが分かりました。さらに、Phae1の遺伝子発現に影響を与える化合物を探索したところ、シグナル伝達因子mTORの阻害剤であるラパマイシンが、Phae1の遺伝子発現を抑制することを明らかにしました。すなわち、神経特異的なmTor遺伝子の機能低下はZesteとPhae1のタンパク質発現を抑制し、致死ストレス後の生存率を増加させました。以上の結果から、mTOR-Zeste-Phae1経路が、キイロショウジョウバエのストレス依存的な個体死を制御しているものと結論付けました。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学生存ダイナミクス研究センター
松村 崇志 助教
丹羽 隆介 教授

佐賀大学
早川 洋一 名誉教授

掲載論文

【題名】
Stress-induced organismal death is genetically regulated by the mTOR-Zeste-Phae1 axis.
(ストレス誘導性個体死はmTOR-Zeste-Phae1軸によって遺伝的に制御されている)
【掲載誌】
Proceedings of the National Academy of Sciences
【DOI】
10.1073/pnas.24270141

関連リンク

生存ダイナミクス研究センター