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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年9月4日

放射線の種類で変化するEu添加CaF₂結晶の発光特性を発見

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
シンチレータ/レンズ/持続可能/フッ化カルシウム/持続可能な開発/透明性/金属材料/原子力/カルシウム/放射線
テクノロジー・材料


概要

シンチレータは放射線のエネルギーを光に変換する物質です。その一つである、Eu(ユウロピウム)添加CaF2結晶にα線を照射すると、X線を照射したときよりも長い波長の光が多く発生することを世界で初めて発見しました。これにより、波長を使って放射線の種類を識別できる可能性があります。
 シンチレータは放射線のエネルギーを光へ変換する物質で、医療やセキュリティなど幅広い分野で利用されています。中でもEu(ユウロピウム)添加CaF2(フッ化カルシウム)結晶は、高い発光量(約2万光子/MeV)を示し、優れた光学的透明性と化学的安定性を備えたシンチレータです。
 これまでシンチレータの発光波長と放射線の種類は関係がないと考えられてきましたが、本研究では、CaF2結晶に対してユウロピウム(Eu)の添加濃度を変えたものを複数作製し、α線とX線をそれぞれ照射して発光の色(波長)と強さを詳しく調べました。その結果、Eu2+による波長約420nmの発光と、Eu3+による波長590-695nmの発光の比が、照射する放射線の種類によって異なることを発見しました。また、同一試料においてEu2+発光を一定とした場合、Eu3+発光は、α線照射時にX線照射時の約2倍となることが確認されました。すなわち、光の色の違いにより放射線の種類を識別できる可能性を示唆しており、例えば、原子力施設の解体現場など複雑な環境での線量測定に応用できる可能性があると考えられます。
 本研究成果は、新しい粒子識別法および次世代の放射線検出技術の開発につながると期待されます。今後は、レンズを用いた光学系との組み合わせにより、放射線が通った飛跡をカラーで記録する技術を開発し、α線やX線などの粒子種を色で識別できる手法の確立を目指します。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学数理物質系
飯田 崇史 助教

東北大学金属材料研究所
吉野 将生 特任准教授

掲載論文

【題名】
Emission Characteristics of Eu2+ and Eu3+ under X-Ray and Alpha Irradiation in Eu-Doped CaF2 Crystals.
(Eu添加CaF2結晶におけるX線, α線照射時のEu2+, Eu3+発光特性)
【掲載誌】
Scientific Reports
【DOI】
10.1038/s41598-025-17570-5

関連リンク

数理物質系