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物質・材料研究機構 研究Discovery Saga
2025年8月26日

電子顕微鏡と機械学習で2次元原子層材料の微細構造を高精度に解析

〜 単層MoS2膜のツイストと極性をナノレベルで丸ごと可視化 〜

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学環境学数物系科学化学総合理工工学総合生物医歯薬学
【Sagaキーワード】
アルゴリズム/位置情報/機械学習/最適化/分析技術/高エネルギー/物質科学/データ解析/モリブデン/二次元材料/ナノ物質/原子層/材料科学/新物質/電子デバイス/二硫化モリブデン/半導体デバイス/STEM/エピタキシャル/原子配列/材料設計/電池/ナノメートル/リチウム/電子顕微鏡/電子顕微鏡法/透過電子顕微鏡/半導体/微細構造/複合材/複合材料/分解能/インフォマティクス/寿命/予測モデル

2025.08.25
NIMS(国立研究開発法人物質・材料研究機構)
NIMSを中心とする研究チームは、走査透過電子顕微鏡と機械学習とを融合した新手法で、次世代電子デバイス材料として注目される二硫化モリブテン(MoS2)単層膜の微細な「ツイスト(微小回転)」や「極性」をナノメートル単位で広範囲・高精度に可視化することに世界で初めて成功しました。この研究成果は、8月6日にSmall Methods誌にて掲載されました。

概要

従来の課題

二硫化モリブデン(MoS2)は数原子層からなる新素材で優れた半導体特性を持ち、次世代電子デバイスの材料として世界的に注目されています。その材料の性能は、ナノメートルレベルで微小に回転(ツイスト)した領域の有無や極性(原子配列の方向)などの微細構造に左右されます。従来技術ではその微細構造を高精度かつ広範囲に評価することが難しく、理想的な材料設計や製造工程の調整が手探り状態でした。今後の革新的な材料開発やデバイス応用を加速させるためには、こうしたツイストや極性をナノレベルで解析できる新しい分析技術が不可欠です。

成果のポイント

今回、研究チームは、最新の走査透過電子顕微鏡法(4D-STEM)により大量の回折パターンと機械学習とを組み合わせて、ナノ領域で単層MoS2のツイストと極性を解析できる手法を開発しました。実際に、半導体プロセスにも使われる成長法で作製した単層MoS2薄膜から2万点以上の回折パターンを収集し、教師なし機械学習と組み合わせて、従来見分けが難しかった結晶のツイストと極性を、ナノメートルレベルの分解能で可視化することに初めて成功しました。この成果により、どのような条件でどのような微細構造になるのか、あるいはどの領域が性能劣化をもたらすかなどを定量的に把握できるため、最適な成長プロセスの実現や不具合の原因究明がスムーズに進み、次世代の高性能電子デバイス開発に大きく貢献することが期待されます。



図: 4D-STEMと呼ばれる計測法の模式図(xy座標は位置情報、uv座標は回折パターン情報を表している)とMoS2の原子配列観察例、および本研究により一つのツイストドメインの極性を赤と緑で色分けした解析結果

将来展望

今回開発した計測手法は、二次元材料のみならずさまざまな複合材料の評価に適用することが可能であり、材料科学やデバイス開発を加速させることができます。さらに、電子顕微鏡装置の高性能化やデータ解析アルゴリズムの最適化、特に先端計測手法の知識を機械学習と組み合わせることで、より高度な材料評価が可能となり、産業界や学術分野において幅広い応用展開が見込まれます。NIMSでは、先端計測と情報科学とを組み合わせた、先端計測インフォマティクスの研究開発と、その材料応用に引き続き取り組んでいきます。

その他


本研究は、NIMS マテリアル基盤研究センター 電子顕微鏡グループの木本 浩司 センター長、原野 幸治 主幹研究員、吉川 純 主幹研究員、Ovidiu Cretu(オヴィヂュ・コレツ) 主任研究員、半導体エピタキシャル構造グループ佐久間 芳樹 特別研究員、電子顕微鏡ユニット上杉 文彦 主幹エンジニア、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 大島 義文 教授、麻生 浩平 講師、および東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ(TEL TS) 松本 貴士 グループリーダーからなるチームにより実施されました。
本研究は、学術変革領域研究(A)超セラミックス(JP22H05145)、メゾヒエラルキーの物質科学(JP23H04874)、ナノ物質を用いた半導体デバイス構造の活用基盤技術(JPMJCR24A3)、および科学研究費補助金(JP20H02624, JP24K08253, JP17H03241)の一部として行われました。
本研究成果は、2025年8月6日にSmall Methodsのオンライン版にて掲載されました。

掲載論文

題目 : Unveiling Twist Domains in Monolayer MoS2 Through 4D-STEM and Unsupervised Machine Learning
著者 :Koji Kimoto,Ovidiu Cretu,Koji Harano,Fumihiko Uesugi,Jun Kikkawa, Kohei Aso, Yoshifumi Oshima, Takashi Matsumoto, andYoshiki Sakuma
雑誌 : Small Methods
DOI :10.1002/smtd.202501065
掲載日時 : 2025年8月6日

関連ファイル・リンク


プレスリリース詳細 PDF - [616KB]
マテリアル基盤研究センター(CBRM)

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問い合わせ先

研究内容について

NIMS マテリアル基盤研究センター
センター長
木本 浩司 (きもと こうじ) E-Mail: KIMOTO.Koji=nims.go.jp([ = ] を [ @ ] にしてください)
TEL: 029-860-4402
URL:https://www.nims.go.jp/AEMG/research_J.html (電子顕微鏡グループ | NIMS)
URL:https://www.nims.go.jp/AEMG/KMT/KMT_Research.html (透過電子顕微鏡手法の開発と材料開発への応用 | 木本浩司)

報道・広報について

NIMS 国際・広報部門 広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp([ = ] を [ @ ] にしてください)
TEL: 029-859-2026
FAX: 029-859-2017

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