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京都大学 研究Discovery Saga
2025年8月21日

AI個別最適化スマートフォン認知行動療法を開発

―治療効果35%向上:大規模臨床試験で有効性を確認―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学複合領域工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
アルゴリズム/最適化/人工知能(AI)/レジリエンス/シミュレーション/スキル/臨床試験/CBT/うつ/スマートフォン/認知行動療法/抑うつ
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

古川壽亮 成長戦略本部特定教授、田近亜蘭 医学研究科准教授、豊本莉恵 同特定助教、野間久史 統計数理研究所教授らの研究グループは、日本で行われた世界最大規模のスマートフォン認知行動療法(CBT)試験(RESiLIENT試験、4,469人参加)のデータに基づき、どういう人にどの認知行動スキルが有効かをAIにより解析し、個人ごとに最適な治療を推奨し介入効果を高める「個別最適化治療(POT)アルゴリズム」を開発しました。
 POTアルゴリズムは、ベースライン情報や早期の治療反応から26週時点での抑うつ症状の改善を予測し、各参加者に最適なCBTスキルまたはその組み合わせを推奨します。シミュレーションでは、POTによる介入は、対照群と比較して抑うつスコアを−1.41点改善させました。これは、グループ平均で最も効果的だった治療と比較して35%効果が高く、特にグループ平均ではベストとされた治療が最適ではない人々では、その人にマッチした個別最適化介入を受けることで64%の効果増が得られました。
 このPOTアルゴリズムはスマートフォンアプリへの実装が可能で、個人の強みや弱みを特定することで推奨理由を説明できるため、臨床的価値が期待されます。ただし、その効果を確認するためには、独立した新たなランダム化臨床試験が不可欠です。
 本研究成果は、2025年8月20日に、国際学術誌「npj Digital Medicine」にオンライン掲載されました。

研究者のコメント 「認知行動療法家として患者さんを診ている間、どの患者さんにどの認知行動療法スキルを学んでいただくのか、経験による処方しかできないことで、ずっと内心忸怩たる思いをしてきました。今回5000人近い人に、5つの認知行動スキルを使ったスマートフォン認知行動療法アプリを使用していただくランダム化臨床試験を行うことにより、はじめてそれぞれのスキルの効果を解明できただけでなく、さらにどの様な人にはどのスキルが向いているかを明らかにすることができました。異なる精神療法を一人一人の特徴にあわせて提供する精密医療を、エビデンスに基づき提供する世界ではじめての仕組みを準備できたと自負しています。これを実際のスマートフォン認知行動療法アプリ『レジトレ!』Version 3.0に実装し、より多くの方に使っていただき、御自身のレジリエンスとメンタルウェルビーイングを高めていただけるサービスをできるだけ早く実現したいと考えています。」

詳しい研究内容について

AI個別最適化スマートフォン認知行動療法を開発―治療効果35%向上:大規模臨床試験で有効性を確認―

研究者情報

研究者名 古川 壽亮
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 田近 亜蘭
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 豊本 莉恵 Researchmap

関連部局

成長戦略本部 医学部・医学研究科