ラクトフェリンが慢性腎臓病の進行と筋の衰えを抑える
―慢性腎臓病合併症の新たな予防および治療薬として期待―
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
2025年8月 5日 11:00
研究者情報
〇大学院薬学研究科 臨床薬学分野准教授 佐藤恵美子
研究室ウェブサイト
発表のポイント
母乳成分であるラクトフェリン(注1)が慢性腎臓病の進行を抑制しうることを明らかにしました。ラクトフェリンには腎臓病に伴って筋力・筋量が減少するサルコペニア(注2)の進行を抑える働きもあることを示しました。
ラクトフェリンは腸内環境を改善する作用を介して腎臓および筋肉に良い影響を及ぼすことが明らかになりました。
発表概要
慢性腎臓病(CKD)(注3)は腎臓の働きが徐々に低下していく進行性の病態であり、日本では成人のおよそ5人に1人が罹患しているとされる深刻な健康問題です。特に高齢のCKD患者ではサルコペニア(筋力・筋量の低下)を合併している割合が高く、末期腎不全ではその影響が深刻です。サルコペニアはCKDの進行を早めたり、死亡リスクの上昇や生活の質(注4)の低下にもつながることがわかっています。しかし、なぜCKDでサルコペニアが起こるのか、その詳しい仕組みはいまだ明らかになっておらず、有効な予防法や治療法も確立されていません。東北大学大学院薬学研究科 臨床薬学分野 佐藤恵美子(さとうえみこ)准教授、岩本千奈(いわもとゆきな)大学院生(研究当時)、山越聖子(やまこしせいこ)助教、堰本晃代(せきもとあきよ)助手(研究当時)、髙橋信行(たかはしのぶゆき)教授らのグループは、母乳成分であるラクトフェリンがCKDでの腎障害とCKDに合併するサルコペニアの進行を抑える効果があることをモデルマウスを用いた動物実験から明らかにしました。ラクトフェリンは、多機能性を有する食品由来の機能性成分です。本成果はCKDやサルコペニアに関連する健康課題に対して、新たな予防・治療戦略の開発につながる可能性があると期待されます。
本成果は2025年7月24日に学術誌The Journal of Nutritional Biochemistryに掲載されました。

用語解説
注1. 母乳や涙、唾液に含まれるタンパク質で、体を守るさまざまな働きを持つ多機能な栄養成分。注2. 筋肉の量と筋力が減少してしまうこと。
注3. 慢性腎臓病(CKD):高血圧や糖尿病など、何らかの原因により腎臓の機能が低下する病気であり、日本では成人5人に1人が罹患している。
注4. どれだけ快適・自分らしく・満足して過ごせているかを表す言葉。
論文情報
タイトル:Lactoferrin attenuates renal fibrosis and uremic sarcopenia in a mouse model of adenine-induced chronic kidney disease著者: Yukina Iwamoto, Seiko Yamakoshi, Akiyo Sekimoto, Koji Hosomi, Takashi Toyama, Yoshiro Saito, Jun Kunisawa, Nobuyuki Takahashi, Eikan Mishima, Emiko Sato*
*責任著者:東北大学大学院薬学研究科 准教授 佐藤恵美子
掲載誌:The Journal of Nutritional Biochemistry
DOI:10.1016/j.jnutbio.2025.110039
詳細(プレスリリース本文)
問い合わせ先
(研究に関すること)東北大学大学院薬学研究科
准教授 佐藤 恵美子
Email: emiko.sato.b8*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院薬学研究科
総務係
TEL: 022-795-6801
Email: ph-som*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)


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