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大阪公立大学 研究Discovery Saga
2025年8月2日

腸内細菌間のコミュニケーションの一部が明らかに

~腸内環境を整える腸活のヒントとなる可能性~

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域数物系科学総合理工工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
システム構築/質量分析装置/質量分析/持続可能/持続可能な開発/マイクロ/電子顕微鏡/獣医学/微生物/大腸/腸内環境/次世代シーケンサー/ケトン/ケトン体/創薬/コミュニケーション/マイクロバイオーム/細菌/細菌叢/腸内細菌/腸内細菌叢

2025年8月1日
獣医学研究科
プレスリリース

発表概要

腸内細菌は、私たちの健康にとって非常に重要な存在です。腸内細菌が構成する腸内細菌叢のバランスが乱れると、便秘や下痢、肌荒れ、慢性的な身体の不調など、さまざまな悪影響を及ぼすことが近年明らかになってきました。しかし、どのような分子メカニズムによって、腸内細菌叢のバランスが維持されているのかについては未だ十分に解明されていません。
大阪公立大学大学院獣医学研究科の細見 晃司准教授、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所医薬基盤研究所の國澤 純副所長らの共同研究グループは、株式会社はくばくの協力の下、いわゆる「悪玉菌」と呼ばれるフソバクテリウム バリウム(Fusobacterium varium1と、いわゆる「善玉菌」と呼ばれるフィーカリバクテリウム プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii2に着目し、これらの細菌間の相互作用について、次世代シーケンサーや質量分析装置を使用し解析しました。
その結果、フィーカリバクテリウム プラウスニッツィは、フソバクテリウム バリウムの増殖を抑制していることが明らかになりました。これには、フィーカリバクテリウム プラウスニッツィの存在によって「pH(酸性度)」が下がり、「β-ヒドロキシ酪酸3」が増加することが関係しています。さらに、フソバクテリウム バリウムが存在することで、フィーカリバクテリウム プラウスニッツィの増殖が促進されることも明らかとなりました。
本研究成果は、2025年7月28日に国際学術誌「Microbiome」にオンライン掲載されました。



図:フソバクテリウム(白矢印)とフィーカリバクテリウム(黄矢印)が相互作用する様子を捉えた電子顕微鏡像
私たちの周りには、目には見えないですが、たくさんの微生物が存在し健康や病気と深く関係しています。私たちの研究室では、こうした微生物に関する理解を深めることで、人や動物の健康を守り、病気の克服につなげたいと考えています。今回の研究成果も、その一歩になると信じています。



細見 晃司准教授

掲載誌情報

【発表雑誌】Microbiome
【論 文 名】Metabolite-mediated interactions and direct contact betweenFusobacterium varium andFaecalibacterium prausnitzii
【著     者】Koji Hosomi, Satoko Maruyama, Tsubasa Matsuoka, Mari Furuta, Yoko Tojima, Keita Uchiyama, Makiko Morita, Hitoshi Kawashima, Toshiki Kobayashi, Jun Kunisawa
【掲載URL】https://doi.org/10.1186/s40168-025-02168-w

用語解説

※1 フソバクテリウム バリウム(Fusobacterium varium):腸内や口腔内に存在する細菌の一つで、大腸の炎症やがんとの関連が指摘されている。
※2 フィーカリバクテリウム プラウスニッツィ(Faecalibacterium prausnitzii):腸内に存在する細菌の一つで、健康に有益な酪酸を産生するなど、腸の健康に関わっていると考えられる。
※3 β-ヒドロキシ酪酸(β-hydroxybutyric acid):ケトン体の一つで、人や動物では肝臓で生成され、エネルギー源などとして利用される。一部の腸内細菌によっても産生されて、pHを下げたり、他の菌の増殖に影響を与えたりする作用がある。

資金情報

本研究は、日本学術振興会 科学研究費助成事業(課題番号:22K15004、22KK0257)、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)(事業名:次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(腸内マイクロバイオーム制御による次世代創薬技術の開発)、研究開発課題名:リバーストランスレーショナル創薬に向けた包括的マイクロバイオーム制御基盤技術開発―マイクロバイオーム創薬エコシステム構築に向けて―)、研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)、G-7奨学財団、株式会社はくばくからの支援を受けて実施しました。

問い合わせ先

研究内容に関する問い合わせ先

大阪公立大学大学院獣医学研究科
准教授 細見 晃司(ほそみ こうじ)
TEL:072-463-5155
E-mail:hosomi[at]omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
報道に関する問い合わせ先

大阪公立大学 広報課
担当:久保
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list[at]ml.omu.ac.jp
※[at]を@に変更してください。
プレスリリース全文(PDF文書:712.5KB)
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