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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年7月29日

生物実験のばらつきを学習したAIにより高性能な無血清培地を開発

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
AI/アルゴリズム/機械学習/最適化/人工知能(AI)/ノイズ/持続可能/持続可能な開発/血清/卵巣/ゆらぎ/再生医療/細胞培養
生物・環境


(Image by murat photographer/Shutterstock)

概要

AI(人工知能)による機械学習を用いた培地最適化において、生物学的変動を学習したモデルを開発しました。このモデルを活用し、市販品と比較して約1.6倍の細胞濃度を達成する高性能な無血清培地の作成に成功しました。
 細胞培養は、医薬品製造、再生医療、食品、素材など、多様な分野で活用される基盤技術です。この細胞培養の良し悪しを決める重要な因子は培地(さまざまな栄養成分で構成される溶液)です。そのため、培養の目的に応じた培地の最適化が不可欠です。近年、効率的な培地最適化のために、AI(人工知能)による機械学習が用いられています。しかしながら、学習データとなる細胞培養における実験データには、細胞のゆらぎや実験操作と機器のノイズに起因としたバラつき(生物学的変動)が生じ、機械学習の予測精度を著しく低下させます。そこで本研究では、生物学的変動を考慮した機械学習モデルを構築し、これにより最適培地を探索しました。
 多様な培地でCHO-K1(チャイニーズハムスター卵巣由来)細胞を培養し、細胞濃度を測定するとともに、生物学的変動の程度を定量化しました。培地組成、生物学的変動、細胞濃度を学習データとして統合し、複数アルゴリズムを組み合わせた機械学習モデルに適用し、さらにアクティブラーニング(機械学習と実験検証の繰り返し)を実施したところ、市販品と比較して約1.6倍の細胞濃度を達成する無血清培地の作成に成功しました。また、この培地はCHO-K1に特化していたことから、本研究手法は細胞ごとの栄養ニーズを精密に捉えられることが明らかになりました。
 本研究成果は、医薬品製造や再生医療のための効率的な培地開発に貢献すると期待されます。また生物学的変動は生物実験においては避けられない事象であり、多くの生物系研究においても有用な手法であると考えられます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
應 蓓文 准教授

掲載論文

【題名】
Biology-aware machine learning for culture medium optimization
(生物学を考慮した機械学習による培地最適化)
【掲載誌】
New BIOTECHNOLOGY
【DOI】
10.1016/j.nbt.2025.07.006

関連リンク

生命環境系