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京都大学 研究Discovery Saga
2025年7月27日

自然界の構造体はどこまで再設計できるか?

―人工タンパク質設計で細胞骨格様構造を創出―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
複合領域化学工学総合生物医歯薬学
【Sagaキーワード】
環境変化/らせん構造/電子顕微鏡/統合システム/アクチン繊維/人工タンパク質/バイオマテリアル/アミノ酸配列/アクチン/アミノ酸/チューブリン/細胞骨格

研究 2025年7月24日


2種類の異なる人工タンパク質(黄色と青色)から構築されるチューブ構造のモデルと、本研究で実際に構築されたチューブ構造の電子顕微鏡画像。スケールバーは電子顕微鏡画像に対応。(撮影・作成:野地真広)

概要

細胞の形や動きは、アクチンやチューブリンなどのタンパク質が織りなす繊維状の「細胞骨格」によって支えられています。細胞骨格は、細胞内外の環境に応じて集合や分解を繰り返す柔軟な構造体であり、その動的な性質は生命現象の根幹をなしています。こうした複雑で変化に富んだタンパク質集合体のしくみを理解するために、タンパク質を自在に設計し、動的な構造を人工的に再現するという新たなアプローチが注目されています。

 京都大学アイセムス(高等研究院 物質ー細胞統合システム拠点:WPI-iCeMS)野地真広特定研究員と鈴木雄太特定助教(JSTさきがけ研究者)を中心とする研究グループは、異なる2種類の人工タンパク質を組み合わせることで、温度や塩濃度などの環境変化に応じて可逆的に構造が変化する「チューブ状タンパク質集合体」の設計と構築に成功しました。さらに、細胞骨格タンパク質アクチンに由来するアミノ酸配列(D-loop)を移植することで、アクチン繊維と類似したらせん構造を人工的に誘導することにも成功しました。

 本研究は、京都大学 医生物学研究所 杉田征彦准教授および理化学研究所 宮﨑牧人チームディレクターらとの連携のもとで実施されました。この成果は、自然界に近い構造の再現と、動的に変化する人工構造の制御を同時に実現したものであり、今後は生命のしくみの解明に加え、バイオマテリアルへの応用が期待されます。

 本研究成果は、2025年7月22日に、英国の国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。

詳しい研究成果について

自然界の構造体はどこまで再設計できるか?―人工タンパク質設計で細胞骨格様構造を創出―

書誌情報

論文タイトル:"Protein design of two-component tubular assemblies similar to cytoskeletons"
著者:Masahiro Noji, Yukihiko Sugita, Yosuke Yamazaki, Makito Miyazaki, and Yuta Suzuki
Nature Communications | DOI: 10.1038/s41467-025-62076-3