理論物理学が解き明かす体内時計の新たな仕組み
―遺伝子活性の時間的な変化の形がカギ―
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
この研究の主な対象者企業・研究者の方
公開日
概要
國廣悌二 基礎物理学研究所特任教授、儀保伸吾 理化学研究所客員研究員、黒澤元 同専任研究員、初田哲男 同部門長の共同研究グループは、私たちの睡眠と覚醒のタイミングをつかさどる「体内時計」の周期が、温度に影響されない仕組みを、理論物理学の手法を用いて明らかにしました。本研究の成果は、体内時計の仕組みを新しい視点から説明する理論的枠組みを提供するものです。
普通は温度が高くなると化学反応は速くなって周期も短くなりそうですが、体内時計は、温度が変わっても約24時間の周期を保ちます(「温度補償性」)。なぜ温度にかかわらず体内時計が周期を一定に保てるのかは長年の謎でした。
本共同研究グループは、体内時計の数理モデルを、理論物理学の手法であるくりこみ群法を用いて解析し、遺伝子活性(遺伝子からつくられるmRNAの量)の時間的な変化の形(波形)が、高温になるとひずむこと(具体的には、mRNAの量が増える時間よりも減る時間の方が長くなること)が周期を安定化するカギであることを示しました。また、これまで発表された実験データを解析することで、高温になると波形のひずみが実際に大きくなることを実証しました。さらに、この波形のひずみは、体内時計が昼夜のリズム(光サイクル)に合わせるためにも重要であることを示しました。
本研究成果は、2025年7月22日に、国際学術誌「PLoS Computational Biology」にオンライン掲載されました。

詳しい研究内容について
理論物理学が解き明かす体内時計の新たな仕組み―遺伝子活性の時間的な変化の形がカギ―研究者情報
研究者名 Teiji Kunihiro ORCID書誌情報
【DOI】https://doi.org/10.1371/journal.pcbi.1013246
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/295389
【書誌情報】
Shingo Gibo, Teiji Kunihiro, Tetsuo Hatsuda, Gen Kurosawa (2025). Waveform distortion for temperature compensation and synchronization in circadian rhythms: An approach based on the renormalization group method.PLoS Computational Biology, 21, 7, e1013246.
京都大学 研究