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北海道大学 研究Discovery Saga
2025年7月23日

海洋細菌由来希少カロテノイドが抗酸化作用や抗炎症効果を示すことを発見

~C30カロテノイドの機能性食品素材などの応用に向けた研究進展に期待~(水産科学研究院 助教 高谷直己)

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学化学工学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
海洋/分子構造/エステル/一重項酸素/機能性/機能性食品/海洋細菌/構造決定/カロテノイド/微生物/ファージ/マクロファージ/抗炎症/抗炎症作用/抗酸化/抗酸化作用/生理活性/誘導体/遺伝子/遺伝子発現/細菌

2025年7月23日

発表のポイント

●沖縄県瀬長島で採取された海藻表面から、Exiguobacterium sp. oki7株の単離に成功。
●本株が産生する色素として、C30カロテノイド配糖体エステルを同定。
●C30カロテノイド配糖体エステルが抗酸化作用や抗炎症効果を示すことを確認。

発表概要

北海道大学大学院水産科学研究院の高谷直己助教、細川雅史教授、一般財団法人生産開発科学研究所の眞岡孝至博士らの研究グループは、海洋細菌Exiguobacterium属から希少カロテノイドを同定するとともに、この化合物が抗酸化活性や抗炎症効果を示すことを明らかにしました。
天然の脂溶性色素であるカロテノイドは、抗酸化作用など多様な健康機能性が注目されています。β-カロテンをはじめとしたC40カロテノイド(基本骨格を構成する炭素原子数が40個)は野菜や果物などに豊富に存在しますが、一部の微生物によって産生されるC30カロテノイド(基本骨格を構成する炭素原子数が30個)は希少であり、その分子種や生産者、生理活性に関する知見は十分ではありません。本研究では、沖縄県瀬長島で採取した海藻から、Exiguobacterium sp. oki7株を新たに単離するとともに、本株が産生する色素として、C30カロテノイド誘導体であるmethyl 5'-(6-iso-C13:0)-glucosyl-5',6'-dihydro-4,4'-diapolycopenoate(methyl 5'-[6-O-(11-methyldodecanoyl)-β-D-glucopyranosyl]-5',6'-dihydro-4,4'-diapo-ψ,ψ-caroten-4-oate)を同定しました。このC30カロテノイドは、抗酸化剤として知られるβ-カロテンよりも強い一重項酸素消去活性を示すことに加え、活性化マクロファージに対して炎症関連因子の遺伝子発現を抑制することで抗炎症効果を示しました。本研究成果は、未だ不明な点が多いC30カロテノイドの生産者や分子種に関して新たな知見となるとともに、機能性食品素材などへの将来的な応用に向けた研究進展に繋がることが期待されます。
なお、本研究成果は、2025年7月1日(火)公開のFisheries Science誌にオンライン掲載されました。
論文名:Structural determination of the carotenoid glycoside ester produced by the marine bacteriumExiguobacterium sp. strain oki7 and its antioxidant and anti-inflammatory effects(海洋細菌Exiguobacterium sp. oki7株が産生するカロテノイド配糖体エステルの構造決定とその抗酸化作用及び抗炎症作用)
URL:https://doi.org/10.1007/s12562-025-01897-z
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本研究で単離したoki7株が産生するC30カロテノイドの分子構造