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京都大学 研究Discovery Saga
2025年7月22日

カンムリワシはなぜ有毒外来種を捕食できるのか

―毒耐性遺伝子の進化的背景―

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学農学医歯薬学
【Sagaキーワード】
外来種/生態系保全/カエル/生態系/遺伝子
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

日本では沖縄県の西表島と石垣島のみに生息するカンムリワシは、絶滅危惧IA類に指定される希少な猛禽類です。カンムリワシの特徴的な生態のひとつに、「外来種である毒を持つオオヒキガエルを食べる」という行動が挙げられます。
 強い毒を分泌することで知られるオオヒキガエルは、1978年に石垣島に持ち込まれました。同様に、オオヒキガエルが人為的に持ち込まれたオーストラリアでは、その毒によって捕食者が中毒死した例が報告されています。しかし、石垣島のカンムリワシはこのカエルを食べている姿が頻繁に観察されているにもかかわらず、中毒症状を起こしたという報告例はありません。なぜカンムリワシはオオヒキガエルを食べることができるのでしょうか。
 そこで、戸部有紗 理学研究科博⼠課程学生、村⼭美穂 野⽣動物研究センター教授らの研究グループは、毒耐性に関与するとされる遺伝子を調べました。その結果、カンムリワシはこの毒への耐性があるとされるヤマカガシというヘビと同一の配列をこの遺伝子に持つことが明らかになりました。また、この配列を一部の猛禽類の間で比較したところ、ヤマカガシと同一の配列はカンムリワシのみにみられることが判明しました。猛禽類における毒耐性の進化を明らかにした初めての論文となります。
 本研究成果は、2025年7月14日に、国際学術誌「BMC Ecology and Evolution」にオンライン掲載されました。

研究者のコメント 「今回の研究を通じて、毒のある外来種でさえうまく利用することのできるカンムリワシの適応能力の高さと生態に改めて感嘆するとともに、外来種問題との向き合い方の難しさを学びました。今後も西表島、石垣島および八重山諸島の生態系保全に向け、カンムリワシを通じて貢献していきたいと考えています。」(戸部有紗)

詳しい研究内容について

カンムリワシはなぜ有毒外来種を捕食できるのか―毒耐性遺伝子の進化的背景―

研究者情報

研究者名 戸部 有紗 Researchmap 研究者名 村山 美穂
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1186/s12862-025-02412-9
  【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/295277

【書誌情報】
Alisa Tobe, Yu Sato, Mitsuki Kondo, Manabu Onuma, Miho Inoue-Murayama (2025). Evolutionary insights into Na⁺/K⁺-ATPase-mediated toxin resistance in the Crested Serpent-eagle preying on introduced cane toads in Okinawa, Japan.BMC Ecology and Evolution, 25, 70.

関連部局

理学部・理学研究科 野生動物研究センター