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京都大学 研究Discovery Saga
2025年7月16日

次世代AIで磁性材料のエネルギー損失の原因を解明

~省エネルギーな次世代EV開発への応用に期待~

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学医歯薬学
【Sagaキーワード】
最適化/自由エネルギー/人工知能(AI)/トポロジー/エネルギー利用/半導体デバイス/省エネ/ボトルネック/熱力学/材料設計/磁性材料/電池/エネルギーモデル/モーター/自動車/省エネルギー/電気自動車/二酸化炭素/半導体/心臓
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

平岡裕章 高等研究院教授は、谷脇三千輝 東京理科大学修士課程学生(研究当時)、小嗣真人 同教授らの研究グループと、次世代の説明可能AI「拡張型自由エネルギーモデル」を用いて、実際の磁性材料のエネルギー損失の原因を明らかにしました。
 電気自動車(EV)の心臓部であるモーターでは、磁性材料が発生する「エネルギー損失(鉄損)」が、大きな効率低下の原因となっています。この損失はモーター全体の約30%を占め、世界規模では年間約6億トンのCO2排出に相当する深刻な課題です。しかしこれまで、その損失のメカニズムは詳しく解明されておらず、材料設計のボトルネックとなっていました。
 そこで本研究では、モーターに広く使われる無方向性電磁鋼板(NOES)を対象に、次世代の説明可能AI「拡張型自由エネルギーモデル」を用いて解析しました。本モデルは、数学のトポロジーと熱力学の自由エネルギーの概念を組み合わせて、構造―機能―因果をホワイトボックス的に接続できるモデルです。
 解析の結果、エネルギー損失が増大する場所を、顕微鏡画像上に可視化することができました。特に、これまで一括りにされてきた複雑な磁壁の役割を見分けて、その位置を「見える化」することに、世界で初めて成功しました。これは、実際の材料に潜んでいた知見を引き出す、新たなアプローチとなります。
 今回の手法は、物理とデータ科学を融合した次世代の説明可能AIであり、「AI for Science(AI4Science)」を象徴する技術です。熱力学の汎用性を活かして、磁性材料に限らず、半導体デバイスや電池材料など、多様な環境エネルギー材料への展開も期待されます。今後はエネルギー利用の最適化を通じて、未来社会の実現に貢献していきます。
 本研究成果は、2025年7月15日に、国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。

詳しい研究内容について

次世代AIで磁性材料のエネルギー損失の原因を解明~省エネルギーな次世代EV開発への応用に期待~

研究者情報

研究者名 平岡 裕章
京都大学 教育研究活動データベース

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41598-025-00357-z
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/295194
【書誌情報】
Michiki Taniwaki, Ryunosuke Nagaoka, Ken Masuzawa, Shunsuke Sato, Alexandre Lira Foggiatto, Chiharu Mitsumata, Takahiro Yamazaki, Ippei Obayashi, Yasuaki Hiraoka, Yasuhiko Igarashi, Yuta Mizutori, Sepehri Amin Hossein, Tadakatsu Ohkubo, Hisashi Mogi, Masato Kotsugi (2025). Automated identification of the origin of energy loss in nonoriented electrical steel by feature extended Ginzburg–Landau free energy framework. Scientific Reports, 15, 23758.

関連部局

高等研究院