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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年7月11日

生成AIと筋骨格シミュレーションで臨床応用のための汎用的歩行解析を実現

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
タスク/人工知能(AI)/持続可能/持続可能な開発/シミュレーション/運動解析/解析モデル/筋骨格/臨床応用/脳性麻痺/歩行解析/筋活動/パーキンソン病/高齢者/神経疾患/認知症
医療・健康


(Image by desidesidesi/Shutterstock)

概要

神経疾患の治療における歩行検査では、AIによる定量的解析が検討されていますが、学習用データセットの制約上、適用できる疾患や計測条件は限られていました。今回、生成AIと筋骨格シミュレーションを組み合わせた人工歩行データを活用し、より汎用的で精度の高い歩行解析モデルを実現しました。
 歩行検査は、神経疾患の診断・予後・治療方針の決定において重要な役割を果たします。従来は目視による主観的な評価が主流でしたが、近年、AI技術の進展により、カメラなどの簡便なセンサを用いた定量的解析が可能になりつつあります。しかし、動画や健康データの性質上、AIモデルの学習に使えるデータは極めて限られており、解析対象を特定の疾患や計測条件に特化せざるを得ませんでした。
 本研究では、生成AIと筋骨格シミュレーションを組み合わせ、多様な人工歩行データを計算機上で生成し、AIの学習に活用する新たな手法を提案しました。子どもから高齢者までの骨格や、正常から異常までの筋生理パラメータを網羅し、さまざまな計測条件も模擬することで、多様な歩行データを再現しました。この手法の有効性を、脳性麻痺、パーキンソン病、認知症など、1,200人超の患者から収集された1.2万件以上の実データで検証しました。
 その結果、人工データのみで学習したモデルが、実データで訓練された疾患・計測条件特化型モデルと同等以上の精度で臨床的に重要な歩行指標を推定できることが確認されました。さらに、単眼カメラ映像から筋活動を高精度に推定できることも示されました。また、人工データを事前学習に用いることで、複数の疾患関連タスクにおいて精度を向上させ、必要な実データ量を大幅に削減できることも明らかになりました。
 本研究は、医療AI開発における「データの壁」を乗り越える新たなアプローチを提示し、歩行・運動解析の臨床応用を大きく前進させる成果です。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学 医学医療系
新井 哲明 教授

掲載論文

【題名】
Utility of synthetic musculoskeletal gaits for generalizable healthcare applications
【掲載誌】
Nature Communications
【DOI】
10.1038/s41467-025-61292-1

関連リンク

医学医療系