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東北大学 研究Discovery Saga
2025年7月11日

プレートから上昇する水が巨大地震の破壊拡大を止め、直下型地震を引き起こす?

─東日本太平洋側の地震帯の発見が示す地震のメカニズム─

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
情報学数物系科学工学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
AI/ニューラルネットワーク/機械学習/深層学習/人工知能(AI)/スロースリップ/プレート境界/海底地震観測/巨大地震/太平洋プレート/地震活動/地震波/データ解析/持続可能/持続可能な開発/水みち/ニューラルネット/大地震/地震観測/波形解析/神経回路
2025年7月11日 10:00

発表のポイント

海底地震観測網を含む大量の波形データに人工知能(AI)深層学習(注1モデルを適用し、東日本太平洋下で従来の約6倍の数の地震を検出しました。それにより、北海道〜関東で沈み込む太平洋プレートから鉛直上方に伸びる「前弧地震帯」を発見しました。
前弧地震帯は、プレートの脱水とその水の上昇を示します。上昇した水がプレート境界の固着を弱め、スロースリップを引き起こすことで、プレート境界での大地震の破壊拡大を食い止めていると考えられます。
さらに上昇した水は浅い断層での地震を誘発し、 直下型地震の帯を形成します。特に関東地方では、この前弧地震帯が陸域下に入り込み、首都直下の活発な地震活動に関わっている可能性があります。

発表概要

地下深くでプレートから供給され、地表へと上昇する"水"が、巨大なプレート境界地震の広がりを止める一方で、直下型地震を引き起こす可能性があることを明らかにしました。東北大学大学院理学研究科の鈴木琳大郎大学院生(研究当時)と内田直希准教授(研究当時。現在東京大学地震研究所教授)らの研究グループは、深層学習モデルを用いた大量の地震波形解析により、東日本の太平洋沿岸海域〜関東地方下に「前弧地震帯」を発見しました。この地震帯は、従来よりも浅い場所でのプレートからの脱水を示し、そこから上昇する水の経路となっています。深さ約35-75kmのプレートから出た水は、その直上のプレート境界断層を潤滑し、プレート境界巨大地震のすべり域の拡大を抑制する一方、約35kmより浅い地震を活性化させていると考えられます。前弧地震帯は、巨大地震と直下型地震の両方に深く関わる"水みち"であり、将来発生するこれらの地震の姿の予測に向けた重要な手がかりとなります。
本研究成果は日本時間2025年7月11日(金)午前4時に、科学雑誌Scienceのオンライン版に掲載されました。



図1. 新しい地震カタログによる2016-2020年の地震の分布。赤四角およびそれをつなぐ黒線はS-net観測網を示す。色付きの点は地震の震源、色は地震の深さを示す。I 、IIの矩形領域において、S-netを使用していない気象庁によるカタログのそれぞれ、1.2倍、5.9倍の数の地震の震源を得た。

用語解説

注1. 深層学習:人間の知的活動をコンピュータによって実現する技術が人工知能(AI)。その中でデータ解析の結果から判断材料となるルールを見つけ出す手法を機械学習、さらに人間の脳が持つ神経回路の仕組みを取り入れたニューラルネットワークを用いてデータ分類や認識の基準をデータ自ら見つけ出す機械学習の手法を深層学習と言う。

論文情報

タイトル:The forearc seismic belt: A fluid pathway constraining down-dip megathrust earthquake rupture
著者:Rintaroh Suzuki1, Naoki Uchida1,2*, Weiqiang Zhu3, Gregory C. Beroza4, Takashi Nakayama1, Keisuke Yoshida1, Genti Toyokuni1, Ryota Takagi1, Ryosuke Azuma1 and Akira Hasegawa1
筆頭著者:東北大学大学院理学研究科 大学院生 鈴木琳大郎
*責任著者:東京大学地震研究所 教授 内田直希
1東北大学大学院理学研究科、2東京大学地震研究所、3カリフォルニア大学バークレー校、4スタンフォード大学
掲載誌:Science
DOI:10.1126/science.adt6389

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先

(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
TEL: 022-795-6708
Email: sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp
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