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筑波大学 研究Discovery Saga
2025年7月3日

天然由来アルカロイドが引き起こすユニークな二相性細胞応答

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
工学農学医歯薬学
【持続可能な開発目標(SDGs)】
【Sagaキーワード】
加水分解/水分解/持続可能/持続可能な開発/細胞応答/加水分解酵素/アルカロイド/オートファジー/リソソーム/神経細胞/創薬
生物・環境


(原著論文より一部改変)

概要

天然に由来するアルカロイド(窒素を含む有機塩基類)であるテトランドリンが、細胞小器官の一つであるリソソームを損傷させ、リソファジー(オートファジーが傷ついたリソソームを選択的に隔離、分解する)を引き起こすと同時に、リソソームの新生を促す二相性の細胞応答が働くことを見いだしました。
 オートファジーとは、細胞の中の不要になったタンパク質や小器官を自己分解する仕組みで、「細胞の掃除屋」とも例えられます。このとき、リソソームと呼ばれる細胞小器官が、分解を担います。これまで、中国や台湾に自生するツヅラフジ科植物Stephania tetrandraに豊富に含まれるアルカロイド(窒素を含む有機塩基類)のテトランドリンが、オートファジーに作用して、抗がんや神経細胞保護活性などさまざまな薬理活性を発現することが知られていました。しかし、その詳細なメカニズムはよく分かっていませんでした。
 本研究では、テトランドリンに蛍光物質を付加した標識体を用いて、細胞内における化合物の居場所を探索しました。その結果、この標識体がリソソームに特異的に集積することを見いだしました。また、テトランドリンは、通常、酸性状態にあるリソソーム内のpHを一時的に上昇させ、その機能を阻害することが分かりました。そして、これを引き金に、損傷したリソソームがオートファジーによって選択的に取り除かれる現象(リソファジー)が引き起こされると同時に、リソソームの新生が促されるという、二相性(二段階)の細胞応答が働くことを発見しました。
 これまで、リソソームに作用する薬剤として、リソソーム膜上のチャネルを阻害したり、内部の加水分解酵素の働きを抑えるものが知られていましたが、今回発見されたテトランドリンにより引き起こされる細胞の応答は、既存薬剤とは異なる新たなメカニズムと考えられます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学 生命環境系
宮前 友策 准教授
ZHE YANG ライフイノベーション(創薬開発)学位プログラム(博士後期課程)3年次

掲載論文

【題名】
Biphasic Cellular Response Triggered by Tetrandrine-Mediated Dysfunction and Lysophagic Clearance of Lysosomes.
(テトランドリンが引き起こすリソソームの損傷と除去からなる二相性細胞応答)
【掲載誌】
ACS Chemical Biology
【DOI】
10.1021/acschembio.5c00220

関連リンク

生命環境系
ライフイノベーション(創薬開発)学位プログラム