\客観的にガラガラ声を評価できる新指標/ ガラガラ声の程度を自動的に定量化する音響モデル「ARI」を開発!
声がれの診断精度向上、リモート診療への応用へ
【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
【Sagaキーワード】
2025-7-1医学系研究科教授猪原 秀典発表のポイント
ガラガラした声に特徴的な「サブハーモニクス」という音の成分を自動で検出し、声のざらつきを0~10のスコアで評価する音響モデル「ARI」を開発ガラガラした声の度合いは、専門家が耳で聞いて判断する主観的な方法が中心で、評価する人によってばらつきがあったが、作成したサブハーモニクスの種類と量を自動で判定するプログラムにより、専門家の耳での判断と高精度で一致する定量的な評価が可能に
ARIを使うことで、声の病気を客観的に評価できるうえ、治療の効果もわかりやすくなり、将来的にAIを使った音声診断や、遠隔医療などへの応用に期待
発表概要
大阪大学大学院医学系研究科の北山一樹さん(博士課程)、細川清人講師、猪原秀典教授(耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)の研究グループは、ガラガラした声の評価に使える新しい指標「ARI(アコースティック・ラフネス・インデックス)」を開発しました。ARIは、声に含まれるサブハーモニクスの種類と強さを計算し、従来の音響データと組み合わせて声のざらつきを0~10のスコアで表すしくみです。ガラガラした声は、人が耳で聞いて判断すると主観的でばらつきがあるという課題がありましたが、今回、約450人分の声のデータで検証を重ね、専門家の判断とよく一致する音響モデルの開発に成功しました。ARIは声の病気の診断や治療の前後での比較、研究などで使うことができ、誰でも使えるようにプログラムをインターネットで公開しているため、医療現場や研究機関などでの活用が期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「npj Digital Medicine」に、5月20日(火)に公開されました。

図1. 音響モデルARIのイメージ
研究の背景
ガラガラ声は、声帯の振動が乱れることで生じます。今までは「GRBASスケール」などの方法を用いて人が耳で聞いて評価していましたが、主観的でばらつきがあるという課題がありました。ガラガラ声の原因となるサブハーモニクスという音の成分を正確に見つけて評価する方法はありませんでした。研究の内容
この研究では、これまで同研究グループで開発したSFEEDS(Spectral-Based Fundamental frequency Estimator Emphasized by Domination and Sequence)という声の波形の基本周波数を正確に見つけるしくみを使って、サブハーモニクスの種類と量を自動で判定するプログラムを作りました。その情報と、従来からある声の特徴を表す数値を組み合わせて、ガラガラ声の度合いを数値で表すモデル・ARIを作成しました。ARIは、文章を読む声と「あー」と声を出すデータを組み合わせて声の質を評価します。ARIのスコアは専門家の耳での判断とよく一致し、スコアが2.09以上だとざらつきがある声、2.09未満だと滑らかな声と高い確率で見分けることができました。
本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
ARIは、これまで人の耳に頼っていた評価を客観的にしてくれるツールです。声の病気の診断や治療の前後での比較、研究などで使うことができます。また、誰でも使えるようにプログラムをインターネットで公開しており、医療現場や研究機関などでの活用が期待されます。今後は、日本語以外の言語や感情がこもった声、歌などにも応用し、診療やリモートでの声のチェックにも使えるようにしていきたいと考えています。
特記事項
本研究成果は、2025年5月20日(火)に米国科学誌「npj Digital Medicine」(オンライン)に掲載されました。タイトル:“A Multivariate Model Incorporating Subharmonic Measurements for Evaluating Vocal Roughness”
著者名:Itsuki Kitayama, Kiyohito Hosokawa, Shinobu Iwaki, Misao Yoshida, Akira Miyauchi, Kenji Aruga, Takanari Kawabe, Toshihiro Kishikawa, Hidenori Tanaka, Takeshi Tsuda, Takashi Sato, Yukinori Takenaka, Makoto Ogawa, Hidenori Inohara
DOI:https://doi.org/10.1038/s41746-025-01702-2
なお、本研究は、JSPS科研費(JP21K16842)の支援を受けて行われました。
参考URL
猪原秀典教授 研究者総覧https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/781eca742dd39f15.html
細川清人講師 研究者総覧
https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/55f8e5a51829b2c4.html
大阪大学 研究