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京都大学 研究Discovery Saga
2025年6月25日

宇宙インフレーション期に、私たちは本当に隣人から孤立していたのか?

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
数物系科学医歯薬学
【Sagaキーワード】
原始ブラックホール/量子ゆらぎ/インフレーション宇宙/ブラックホール/初期宇宙/ゆらぎ
この研究の主な対象者
企業・研究者の方
公開日

概要

初期宇宙、すなわちビッグバン直後の時代において、宇宙が指数関数的な膨張を遂げたインフレーション期を経たとする説が広く受け入れられています。このインフレーション期には、量子ゆらぎが増幅され、その後、重力的に崩壊して原始ブラックホール(PBH)を形成する可能性があります。
 PBHの形成を予測するために、広く用いられている理論的枠組みの一つが「セパレートユニバース近似」と呼ばれるものです。この手法では、インフレーション宇宙を、一様宇宙のパッチワークとして記述します。計算を大幅に簡略化できる利点がありますが、ゆらぎを大きく増幅する超スローインフレーションモデルに適用すると大きなエラーが生じると考えられていました。
 この問題に対し、田中貴浩 理学研究科教授、Danilo Artigas 同日本学術振興会特別研究員、 Shi Pi 北京大学教授からなる共同研究グループは、各一様宇宙に空間曲率を持たせられるように定式化を拡張することで解決できることを示し、より広範なモデルに「セパレートユニバース近似」が適用できることを明らかにしました。これにより、PBHの形成量を簡便、かつ、正確に予測する手法が提供されます。
 本研究成果は、2025年6月3日に、国際学術誌「Physical Review Letters」に掲載されました。 


インフレーション中に、量子ゆらぎが増幅される様子を模式的に表している。赤い領域は高密度領域、黄色い領域は低密度を表す。極端な高密度領域はブラックホールに崩壊し、原始ブラックホールを形成する可能性がある。
研究者のコメント 「この拡張されたセパレートユニバースアプローチを用いることで、初期宇宙に生成される原始ブラックホール量のモデル依存性を容易に予測できるようになりました。将来的には、様々なインフレーションモデルの観測制約との比較によるテストに利用されることを期待しています。」(Danilo Artigas)

詳しい研究内容について

宇宙インフレーション期に、私たちは本当に隣人から孤立していたのか?

研究者情報

研究者名 田中 貴浩
京都大学 教育研究活動データベース
研究者名 Danilo Artigas ORCID

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.134.221001

【書誌情報】
Danilo Artigas, Shi Pi, Takahiro Tanaka (2025). Extended 𝛿⁢𝑁 Formalism: Nonspatially Flat Separate-Universe Approach.Physical Review Letters, 134, 22, 221001.

関連部局

理学部・理学研究科