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京都大学 研究Discovery Saga
2025年6月14日

超伝導ダイオード効果の新しい背景学理を発見

〜超省電力な情報回路の実現に大きく前進〜

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
環境学数物系科学総合理工工学農学
【Sagaキーワード】
セレン/空間反転対称性の破れ/対称性/超伝導体/熱電効果/磁場/超伝導/空間反転対称性/温度分布/対称性の破れ/結晶構造


(左)実験で用いたFeSe素子の概念図と結晶構造。(中)実験で観測した超伝導ダイオード効果。外部磁場は一切印加していない。電流を+方向に流すときと−方向に流すときで超伝導状態が現れる電流の大きさが異なる。(右)実験で用いたFeSe素子内部の温度分布の模式図。素子幅が狭いほうの電流密度が上がるために温度が高くなり、素子中の温度が均一にならないことで超伝導状態が現れる電流の大きさが異なる。

概要

電子工学専攻の永田歌寧 修士課程学生、白石誠司 教授らのグループは理学研究科の栁瀬陽一 教授、松田祐司 教授らと共同で、超低消費な情報回路の構築のために強力な武器となる超伝導体が示すダイオード(整流)効果に関する新しい背景学理を発見しました。
超伝導ダイオード効果は2020年に京都大学の研究グループによって発見された新しい効果であり、超伝導体に電流を流す際に、電流を流す方向によって抵抗がゼロの超伝導状態になったり抵抗が有限の常伝導状態になったりする効果を言います。つまり、onとoffの2値状態をゼロ抵抗である超伝導体1つで実現できるため、将来的にこの効果を活かした超省電力な情報回路の実現に期待が集まっています。従来、この効果を発現させるためには、超伝導体の構造的な空間反転対称性が破れていることと外部磁場の印加の双方が必要であるとされてきました。今回、白石教授らはFeSe(セレン化鉄)という超伝導体を用いて超伝導ダイオード効果の研究を行う中で、物質の持つ熱電効果とそれに伴う素子内部の熱勾配が超伝導ダイオード効果をもたらすことを発見し、従来この効果の発現に必要とされてきた明示的な空間反転対称性の破れも外部磁場も不要であることを明らかにしました。この成果は、現在大きな関心を集めているこの超伝導ダイオード効果という現象の物理的理解を大きく進めるだけでなく、外部磁場が不要でコンパクトかつ超低消費な情報素子および回路の実現に大きく前進した点で極めて重要な成果です。
本成果は2025年6月12日(現地時間)に、米国学術誌「Physical Review Letters」誌にオンライン掲載されました。
研究詳細
超伝導ダイオード効果の新しい背景学理を発見 〜超省電力な情報回路の実現に大きく前進〜

研究者情報

白石 誠司京都大学教育研究活動データベース

書誌情報

タイトル
“Field-free superconducting diode effect in layered superconductor FeSe”
(層状超伝導体FeSeにおける外場の必要ない超伝導ダイオード効果)
著者
U. Nagata1, M. Aoki1,2,%, A. Daido3, S. Kasahara4, Y. Kasahara3,#, R. Ohshima1,2, Y. Ando1,2,$, Y. Yanase3, Y. Matsuda3 and M. Shiraishi 1,2
1. 京都大学大学院工学研究科, 2. 京都大学CSRN, 3. 京都大学大学院理学研究科, 4. 岡山大学大学院理学研究科
% 現所属:Catalan Institute for Nanoscience and Nanotechnology, Spain
# 現所属:九州大学大学院理学研究科
$ 現所属:大阪公立大学大学院工学研究科
掲載誌
Physical Review Letters
DOI 10.1103/PhysRevLett.134.236703
KURENAI

関連リンク

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