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福井大学 研究Discovery Saga
2025年6月12日

大腸がん悪性化のブレーキを解明“がん幹細胞性を誘発する転写メカニズムのブレーキ”

【産学連携対象 全学共通分野 Discovery Saga】
生物学医歯薬学
【Sagaキーワード】
悪性化/生命情報/腸管上皮細胞/腸管上皮/APC/大腸/β-catenin/RNA/がん幹細胞/マウス/幹細胞/小腸/上皮細胞/大腸がん/転写因子/薬理学/遺伝子/遺伝子発現

研究のポイント

◆腸管上皮細胞注1に特異的に働く転写因子CDX1とCDX2注2(以下、CDX1/2)が大腸がんの
悪性化注3を抑制することを明らかにしました。
◆CDX1/2が大腸がんのがん幹細胞性注4を抑制することを明らかにしました。
◆CDX1/2がβ-catenin注5によるPAF1複合体注6を介した遺伝子発現注7を抑制することを
明らかにしました。

発表概要

 多くの大腸がんでは、APC遺伝子の変異によりβ-cateninタンパク質の量が増加します。増加したβ-cateninは、がんの根源となるがん幹細胞を生み出す遺伝子群の発現を誘導することで、大腸がんの発症を促し、段階的に悪性化すると考えられています。福井大学医学系部門医学領域の青木耕史教授らは、β-cateninがPAF1複合体などを介してRNA Pol IIを活性化することにより、がん幹細胞関連遺伝子群の発現を誘導することなどを2024年に明らかにしました。
 これまでの研究から小腸や大腸の上皮細胞の発生や恒常性の維持に不可欠な転写因子として働くCDX1とCDX2が大腸がんの悪性化に関わる可能性が示唆されていました。しかし、その直接の実験的証明はなく、またその機序も未解明となっていました。本研究では、動物(マウス)モデルを用いてCDX1/2が相加的に協調して大腸がんの悪性化を抑制することを初めて明らかにしました。さらに、その機構としてCDX1/2が協調的にβ-cateninによるPAF1複合体の活性化を介した遺伝子発現を抑制することや、大腸がんのがん幹細胞性を抑制することを明らかにしました。
 本研究により、大腸がんの根源となるがん幹細胞性を誘発する遺伝子発現や悪性化を抑制するブレーキのひとつの機構が明らかになりました。
 本研究成果は、英国科学誌「Cell Death & Disease」に2025年5月21日に掲載されました。

論文名


CDX1 and CDX2 suppress colon cancer stemness by inhibiting β-catenin-facilitated formation of the Pol II-DSIF-PAF1C complex.
日本語翻訳:「CDX1とCDX2はβ-catenin誘導性のPol II-DSIF-PAF1C複合体の形成を抑制することで、大腸がんのがん幹細胞性を抑制する」

著者


青木 耕史 Koji Aoki(責任筆者)、新田 朱里 Akari Nitta、五十嵐 あゆみ Ayumi Igarashi
国立大学法人福井大学 医学系部門医学領域 生命情報医科学講座薬理学
Department of Pharmacology、Faculty of Medicine、University of Fukui.

掲載誌


「Cell Death & Disease」

DOI


10.1109/ACCESS.2025.3568510
プレスリリース資料はこちらをご覧ください。

研究者情報

青木 耕史教授

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